『最強ばあちゃん 梅子』第3話「孫を泣かせた男たち』
——買い物袋のじゃがいも
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薄暗いコンクリートの旧港湾倉庫・第3棟内。85歳の梅子が砲弾のように投げた1個の生の茶色いじゃがいもが、黒服リーダーの構えた黒い拳銃だけを空中で木っ端微塵に粉砕する。
リーダー「なっ……銃が粉々に……!」
リーダー「れ、零号……!?」
その少し前。黒崎から転送された地図座標が表示されたスマホ画面を見ながら、梅子が買い物袋を提げて旧港湾地区の埠頭沿いを倉庫街へ向かって走る。
梅子「旧港湾倉庫・第3棟……悠斗、今行くよ!」
梅子「味方の黒崎が地図を送ってくれた。」
倉庫の内部。高校生の孫・悠斗(17歳・紺ブレザー制服)が鉄椅子に縛られ、そのすぐ横に回収局の黒服リーダー、後ろに武装隊員1人。悠斗は必死に叫ぶ。
悠斗「離せ! おばあちゃんに手を出すな!」
倉庫の重い鉄扉がスライドして開き、買い物袋を提げた梅子が静かに中へ足を踏み入れる。黒服のリーダーが投降を迫る。呼ばれた「零号」に、梅子は一瞬ぴくりと反応して表情が固くなる。
リーダー「来たか、元最終兵器・零号。大人しく投降しろ。」
すぐ横に立つ黒服のリーダーが、椅子に縛られた悠斗のこめかみに黒い拳銃の銃口を突きつけて梅子を脅迫する。悠斗の頬を涙が伝う。
リーダー「一歩でも動けば孫の頭を撃ち抜くぞ。どんなに速くても、引き金を引く方が早いぞ! 安全装置は外してある。指はもうかかってる!」
孫の涙を見た梅子の優しい顔が、氷のように冷徹な鬼の形相へと変わる。「孫を泣かせたね……」右手を買い物袋に差し入れ、じゃがいも1個を握りしめる。
梅子「孫を泣かせたね……。」
梅子「銃だけを落とす……。」
梅子が腕をしならせて投擲すると、生のじゃがいもが衝撃波の円錐を伴う超音速で飛び、悠斗にはかすり傷ひとつ付けずにリーダーの黒い拳銃だけを金属片に粉砕する。
リーダー「なっ……袋のじゃがいもを投げて俺の拳銃を粉砕しただと!?」
梅子が目にも留まらぬ神速で踏み込み、一拍のうちに武装隊員1人とリーダーの足元を払ってなぎ倒す。リーダーも床に倒れている。
隊員「うわあっ!? 一瞬で全員の銃まで弾き飛ばされた上に、隊長のは粉々にされた……速すぎて見えない!」
梅子が椅子に縛られた悠斗の手首のロープを優しく解き、悠斗が驚きの目で祖母を見つめる。
悠斗「おばあちゃん……一体何者なの?」
梅子「ただの心配性なおばあちゃんだよ。」
梅子はいつもの温かいおばあちゃんの笑顔に戻り、悠斗に生のじゃがいもを手渡す。
梅子「ほら、袋にじゃがいもがまだ残ってるよ。帰って肉じゃがを作ろうね。」
倉庫の天井の鉄骨梁に潜む赤いレンズの小型偵察ドローンカメラが梅子の戦闘テレメトリを回収局本部へ送信し、「戦闘速度:70年前と変化なし。対零号・最終兵器『神機』起動!」が表示される。
通信音声「本部へ。偵察ドローン映像を受信。零号の戦闘速度は全盛期のままです。戦闘データ、送信完了。対零号の最後の切り札、最終兵器・神機を起動します。」