『毎晩届く隣の物音、親切な隣人の本当の理由』
——壁の薄いアパート・夜
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由紀が壁の物音にびくっとして耳をふさぐ。
萩原 由紀「また音がする…」
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廊下で真央が由紀に『大丈夫、私も聞こえてる』と壁を叩く。
沢渡 真央「大丈夫、私も聞こえてる」
萩原 由紀「隣人の真央さん、ありがとう」
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由紀が壁を叩いて合図を返すと、物音が止まる。
萩原 由紀「真央さんが壁を叩くと静かになる。今夜こそ、隣の部屋を訪ねて理由を聞いてみよう」
由紀が思い切って隣の部屋を訪ねようと決める。
萩原 由紀「今夜こそ、真央さんの部屋を訪ねて聞いてみよう」
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由紀が真央の部屋のドアの前まで来ると、真央が鍵を手にしてにっこり笑う。
沢渡 真央「由紀さん、ちょうどよかった」
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由紀の部屋で真央がお茶を勧める。
萩原 由紀「毎晩の音が怖くて」
沢渡 真央「気にしないで」
由紀が『あの音はどこから?』と尋ねると真央が笑う。
萩原 由紀「あの音はどこから?」
真央が鍵を見せて『あの音は私の部屋よ』と言い、由紀が固まる。
沢渡 真央「この鍵は、壁の向こうの部屋のもの。あの音は私の部屋よ」
萩原 由紀「え…真央さんの部屋?」
真央が『壁を叩いて音を消してあげてたの』と言い、由紀が後ずさる。
沢渡 真央「夜中に目が覚めて、つい物音を立てちゃうの。だから毎晩届く物音を、壁を叩いて消してあげてたの。それが親切の本当の理由よ」
由紀が壁を見つめて震える。
沢渡 真央の声が響いた。「おやすみなさい」
萩原 由紀の声が響いた。「親切じゃ…なかったんだ」