『私を捨てた夫が、私の会社に面接に来た』第6話「元夫が、嘘の噂を流した』
——次の日の昼・人事部のオフィス
────────────────────────
第5話の次の日の昼、人事部のオフィス。元夫が、嘘の噂を流した。美咲のスマホに、SNSの投稿が流れてくる。
高橋 美咲「……何、これ。」
投稿には面接の音声がついている。流してみると、自分の声。途中で切れていて、仕返しで落としたように聞こえる。
高橋 美咲「あなたが私を捨てたこと……面接に落ちた。」
高橋 美咲「私の声……。あの面接の。」
中村部長が美咲の机に来る。会社に苦情の電話が続き、採用の応募も止まってしまった。
中村 浩二「高橋さん。苦情の電話が止まらない。応募も止まった。」
中村部長は、音声は確かに美咲の声だと言う。美咲は、仕返しなどしていないと答える。
中村 浩二「音声は、確かにあなたの声だ。」
高橋 美咲「はい。でも、私は仕返しなんてしていません。」
美咲は動じない。面接は会社が録画している。録画と比べれば、本当のことが分かる。
高橋 美咲「ご存じのとおり、面接は全部、会社が録画しています。録画と比べてください。」
美咲は、自分のことも一から調べてほしいと、自分から頼む。
高橋 美咲「私のことも、一から調べてください。」
中村部長はうなずく。でも、部長が美咲をかばうのではない。会社の外の人に、公平に調べてもらう。
中村 浩二「分かった。私があなたをかばうのではない。公平にするため、会社の外の人に頼む。」
調べが終わるまで、美咲は採用の仕事から外れる。美咲は静かに受け入れる。
中村 浩二「それまで、採用の仕事から外れてくれ。」
高橋 美咲「……はい。分かりました。」
美咲のスマホが震える。新しい書き込みが届く。
高橋 美咲「今度は……知り合いだけを合格させている?」
二人は顔を見合わせる。あの面接の音声を持っているのは、誰なのか。
高橋 美咲「あの面接の音声を、持っている人なんて……」
中村 浩二「調べれば、分かる。」