『DEAD RUN』第1話「妹がゾンビになった夜』
——妹がゾンビになった夜——残り58分の脱出劇
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暗い救急病院の廊下で、17歳の妹・ミオの右目が白濁し、姉・レイナ(29)の首筋に噛みつこうと飛びかかる。レイナは喉元数センチのところでミオの両前腕を必死にブロックする。
神崎ミオ「お姉ちゃん、逃げて! 私の体、勝手に動くの!」
レイナがミオの震える左手首を押さえつけると、破れたガーゼの下から赤紫色の噛み傷が現れ、ミオが涙を流しながら意識を取り戻す。
神崎レイナ「左手の噛み傷……さっき市民を庇った時!?」
神崎ミオ「まだ意識はある……私を置いてって!」
レイナの肩の救急無線が「軍司令部通達:封鎖区域は午前6時に焼却処分」と鳴り響き、壁の医療モニターには「中央病院・救急棟:感染抑制薬を投与中(残り58分)」と表示される。
神崎レイナ「鎮静剤が切れるまで残り30分……救急車で15分の中央病院にある根治血清なら間に合う!」
感染者の群れがガラスの両開き扉を突き破ってなだれ込み、レイナは壁から赤い鋼製消火器を掴み取って先頭の感染者の顎を殴り飛ばす。
神崎レイナ「ミオ、私の後ろを離れないで!」
十数体の感染者に狭い廊下を追われながら、レイナは消火器の安全ピンを引き抜き、真っ白な消火薬剤の粉塵を大量噴射して感染者群の視界を奪う。
神崎レイナ「息を止めて、非常階段へ!」
地下救急車ベイへ続く非常階段の踊り場で下から2体の感染者が待ち伏せするが、レイナは金属製の手すりを掴んで跳躍し、ドロップキックで2体を階段下へ蹴り落としてミオを地下駐車場へ引き込む。
神崎レイナ「あの救急車に乗るよ!」
二人は右ハンドル救急車(右の運転席にレイナ、左の助手席にミオ)に飛び乗り、レイナはイグニッションに挿さったままのキーを回してエンジンとヘッドライトを始動させる。
神崎レイナ「よし、キーがついてる! エンジン始動!」
レイナがシフトレバーを握った瞬間、ミオの首筋に黒い血管が激しく浮き上がる発作が起き、ミオの手がレイナの左腕を強く掴んでドライブへのシフト操作を妨げる。
神崎ミオ「あぐっ……頭の中に、外の連中の声が流れ込んでくる……!」
20体以上の感染者が救急車のボンネットを取り囲んでフロントガラスを激しく叩く中、ミオの両目が深紅(クリムゾン)に発光して絶叫する。
神崎レイナ「ミオ、離して! このままじゃ囲まれる!」
神崎ミオ「やめて! お姉ちゃんに近づかないで、止まって!!」
フロントガラスの外の感染者全員が、飛びかかった体勢のまま彫像のようにピタリと完全静止する。
神崎レイナ「嘘……感染者が全員、ピタリと止まった!?」
ミオの鼻から血が垂れて助手席に倒れ込み「10秒だけ……今よ、出して!」と叫ぶ。レイナはシフトレバーを叩き込んでアクセルを全開にし、オレンジ色の水入り樹脂製バリケードを突き破って地上道路へ飛び出す!
神崎ミオ「はぁ……長くは抑えられない、10秒だけ……今よ、出して!」
背後では静止が解けた感染者群が再び動き出して追撃し、前方の「中央病院 →」の道路標識の下では軍の装甲車部隊が眩しいサーチライトを照射して橋を封鎖し、拡声器で助手席の『統制体反応』を示したミオの回収を命じる。
封鎖軍指揮官「止まれ! 助手席の『統制体反応』を確認。少女を回収しろ!」
神崎レイナ「軍がミオを狙ってる……!?」