『また私の映画を消した彼に、リモコンの決まりを聞いた』
——彼のも消していい?
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初秒、手前に大きく見えるリモコンで隼人が映画を消し、映画音が途切れる。その直後、画面外の里奈が「あなたのも消す」と静かに告げる。字幕は「彼のも消していい?」。隼人はリモコンを渡さず「その映画、却下」。里奈は「貸して。私の映画、まだ途中」と返す。消された里奈が消す側になると予告し、彼が持つリモコンをどう手に入れるかを引きにする。
本田 里奈の声が響いた。「あなたのも消す。」
小林 隼人「その映画、却下。」
本田 里奈の声が響いた。「貸して。私の映画、まだ途中。」
左側に座る里奈が隼人を名前で呼び、恋人の自分にも選ばせてほしいと訴える。隼人は画面外から里奈の名前を呼び、ルールを返す。名前と恋人関係が音声でも伝わる。字幕は場所と時刻、ふたりの氏名と関係を補足する。
本田 里奈「隼人、恋人の私にも選ばせて。」
小林 隼人の声が響いた。「里奈、リモコンを持つ方が決める。」
里奈は、リモコンを持っているだけで自分の映画を消してよいのかと問い、隼人のルールの問題を具体的にする。
本田 里奈「持ってるだけで、私の映画を消していいの?」
里奈がルールは自分にも使えるか確認し、隼人が認める。
本田 里奈の声が響いた。「私が持っても、同じルール?」
小林 隼人「もちろん。お互い同じ。」
里奈は「次は私が決める。もう我慢しない。でも、あなたと見たい」と告げる。決定権を取り返す構えの中に、隼人と映画を見ること自体は諦めたくない本音が漏れる。画面外で隼人が自分の映画を再生し、短い言葉のない映画音が聞こえる。
本田 里奈「次は私が決める。もう我慢しない。でも、あなたと見たい。」
隼人がリモコンを里奈に渡す。里奈の顔だけを大きく見せ、隼人は右端のぼけた横顔に留める。
本田 里奈「私が選ぶ番ね。」
第一の逆転。里奈が同じルールを使って隼人の映画を消す。テレビはカット末までに完全に黒くなる。
本田 里奈「じゃあ、あなたの映画も終わり。」
隼人は驚き、いつものリモコンの受け渡しを信頼だと思っていたと明かす。
小林 隼人「いつも渡すから、好きな映画を任されたと…。」
感動の山。隼人の説明を聞いた里奈は、勝ち取った自分の番まで手放すと決める。リモコンをテーブル中央に置き、「私の番もやめる。我慢せず、一緒に選ぼう」と告げる。支配する側を交代するはずだった展開を、ふたりで決める関係へ変える。言い終えてから最低1秒、隼人を見つめる顔を無言で保つ。
本田 里奈「私の番もやめる。我慢せず、一緒に選ぼう。」
隼人はリモコンを取り戻さず、ルールをやめると明言して里奈の希望を聞く。
小林 隼人「もう勝手に決めない。ルール、やめよう。」
小林 隼人「何が見たい?」
里奈が笑える映画を希望し、隼人も同意する。ふたりが合意できた里奈の笑顔で今回の対立を閉じる。リモコンはテーブルに置かれたまま。
本田 里奈「笑える映画。あなたと笑いたい。」
小林 隼人の声が響いた。「俺も笑いたい。それにしよう。」