『カメラのない家で、監督が私に兄と呼ばせる』
——撮影しないの?
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妹役の撮影を待つ優子が、カメラのない部屋を見て修に問いかける。背後の戸の掛け金は閉まっている。
森本 優子「妹役なのに、カメラはどこですか?」
優子は左の椅子に座り、修は右に立つ。修は優しく教えると約束する。
原田 修「大丈夫。俺が教えるから。」
修は台本がないと言い、優子に自分を兄と呼ばせようとする。
原田 修「台本はないよ。」
原田 修「俺を、お兄ちゃんって呼んで。」
優子は演技として兄への帰宅の挨拶をするが、修の反応を不安そうに待つ。
森本 優子「お兄ちゃん、ただいま。」
修は演技の出来ではなく、実際の妹と座り方が違うことを指摘する。
原田 修「妹は、もっと背中を丸めて座る。」
優子は、来た時に修が閉めた掛け金を見上げて質問する。
森本 優子「来た時、なぜ掛け金を閉めたの?」
修は妹が家を出て戻らないと話し、それが掛け金を閉めた理由だと答える。優子は撮影について問い直す。
原田 修「妹は家を出た。もう戻らない。だから閉めた。」
森本 優子の声が響いた。「撮影は、いつ始まりますか?」
修は静かな口調で、優子を妹の代わりにする目的を明かす。
原田 修「君は役じゃない。妹の代わりだ。」
優子は帰ると言って、椅子から立ち上がる。戸は左後方にあり、掛け金は閉まったまま。
森本 優子「私は、帰ります。」
修は右から左後方の戸の前へ移動し、優子の進路を塞ぐ。撮影すると騙して家へ呼んだことを認める。
原田 修「撮影するって騙した。君をここへ呼ぶために。」
怖さの山。優子は左手前、修は左奥の戸の前。修の顔と、その肩の横にある閉じた掛け金を近く捉える。修は戸の前から動かず、帰さないと宣言する。台詞後は二秒間、優子の退路を塞いだまま無言で見つめる。
原田 修「帰さない。ここが君の家だ。」