『家を出ると決めた朝、姉の鈴だけが私を連れ戻した』第1話「家を出たい朝、姉の鈴で足が戻る』
——朝
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朝。妹の里奈は引っ越しのバッグを持ち、開いた出口へ体を向けている。しかし姉の和代が鈴を鳴らすと、足だけが逆向きに歩いて姉へ戻る。
小川 里奈「足が勝手に戻る!出たいのに!」
里奈は戻ってしまった足元を見てから、姉に今日家を出る意思を伝える。姉は鈴を鳴らさず、黙って聞く。
小川 里奈「別々に暮らすから、今日出ていく。」
里奈は姉の手の鈴に気づく。和代は自分の鈴で、今朝から使っていると答える。鈴は鳴らさない。
小川 里奈「その鈴、誰の?」
小川 和代「私の。今朝から使ってる。」
里奈が出口へ向き直ると、和代が小さく鈴を鳴らす。里奈の体は勝手に姉へ向き、足が姉の方へ滑るように踏み出す。
小川 里奈「呼んだ?」
小川 和代「何も言ってないよ。」
里奈はバッグに引かれた可能性を疑い、部屋の中央の床にバッグを置く。
小川 里奈「荷物のせいかな。置いてみる。」
鈴が鳴らない間、里奈は自分の意思で出口の直前まで歩ける。和代は妹のいない家が嫌だと明かす。バッグは中央の床に残る。
小川 里奈「今度こそ、行くね。」
小川 和代「あんたがいない家は嫌。」
和代は鈴を胸の高さに上げ、鳴らすと里奈を呼び戻せると明かす。カットの終わりに鈴を鳴らす。
小川 和代「これを鳴らすと、あんたが戻ってくるの。」
感動の山: 怖さの山。前のカットの鈴に引かれて戻った里奈が、和代の隣へ後ろ向きに入る。和代が鈴の力を言い切る。里奈の顔が凍りつき、最後の二秒はセリフも鈴の音もなく、姉の目だけが妹を見つめる。
小川 和代「この鈴が鳴ると、体が勝手に戻る。」
里奈は置いたバッグを見下ろし、荷物ではなく鈴が原因だったと理解する。その場で床へ座り込む。
小川 里奈「だから、何度も戻ったんだ…。」
開いた出口はそのまま。里奈はバッグの横に座り、出ていくのを諦める。和代は鈴を胸元に抱えて手放さず、外へ出ても呼び戻すと言う。動かない姉妹と開いた出口で閉じる。
小川 和代「出ても、鳴らせば戻ってくる。」