『毎晩届く夫の夕食、私は食べていない』
——夜の食卓
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洋子が食卓で修に問いかける。修の手が止まる。
秋野 洋子「あなた、今夜も届く夕食を並べるのね。食べないの?」
秋野 修「ああ、毎晩届く夕食だよ。秋野修の夕食だ。夫の俺が、洋子、君のぶんを並べてる」
修が黙って夕食を置き、独り言のように言う。
秋野 修「これは、夫の俺から洋子への夕食だよ」
秋野 洋子「毎晩、あなたは届く夕食を置くのね」
洋子が首をかしげ、なぜ自分は食べないのかと尋ねる。
秋野 洋子「私は、いつも見てるだけね」
修が顔を上げずに答える。
秋野 修「君のぶんは、もう供えてあるんだ」
洋子が食器棚の写真立てを指さす。
秋野 洋子「その写真、誰なの?」
秋野 修「これは、洋子だよ」
修が立ち上がり、線香を手に取る。
秋野 修「毎晩、君に供えてるんだ」
線香に火が灯り、煙が立ち上る。
洋子が鏡を見つめる。鏡には食卓と修だけが映る。
秋野 洋子「私が、映ってない」
修が線香を立て、静かに言い切る。
秋野 修「洋子、もう一年になるね」
洋子が微笑み、ゆっくり薄れて消える。修は一人で夕食の前に座る。
秋野 洋子の声が響いた。「ごめんね、ひとりにして」