『神託機関/ツクヨミ』第3話「私の声が人を殺せと命じた』
——AIがミオの声で命令:『二人を射殺せよ
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夜の大通り。ビルの巨大画面が赤く光り、ミオの声で命令が流れる。本物のミオは画面を見上げて青ざめる。
ミオ「反逆者を射殺しなさい。」
雨の中の通行人たちが、一斉にミオを振り返る。ミオは何も話していない。
市民「巫女様が命令したぞ!」
ミオ「違う、私じゃない!」
柱の上の赤い監視カメラが二人を見つける。レイがミオを柱の陰へ引き寄せ、手で彼女の目を覆う。
レイ「赤い光を見るな! ヨミが出る!」
逃げる人波の中で、少女ユナの黄色い頭巾が落ちる。ミオは拾ってユナにかぶせる。その姿を監視カメラが映してしまう。ユナは母親の方へ走っていく。
ユナ「お姉ちゃん、悪い人なの?」
ミオ「違うよ。逃げて!」
監視ドローンが赤い光を点けて降りてくる。レイが工事用の遮蔽板を起こし、ドローンの視界とミオの顔をさえぎる。
レイ「今だ! こっち!」
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二人は建物裏の路地へ走り込み、レイが錆びた丸いハンドルを回して古い手動扉を開ける。扉の先は監視カメラのない配管通路。
ミオ「どうして、ヨミのことを知ってるの?」
レイ「……中で話す。」
*
二人は扉をくぐって配管通路に入り、レイが扉を閉める。レイは胸ポケットから古い作業員証を出してミオに見せる。
レイ「俺は昔、神託機関で働いていた。」
神託機関の録音室。首を右に傾け、口の片側で笑うミオが、左手でマイクを引き寄せて話す。その声をレイが録音している。
レイ「一年前。お前の声を録ったのは、俺だ。」
録音したのがレイだと知ったミオは、伸ばしかけた手を止め、一歩下がる。レイは目を伏せて告白する。
レイ「金のために……その声を売った。」
ミオ「……私の声を、売ったの?」
レイが続ける。閉めた扉の隙間から、通り過ぎるドローンの赤い光が差し込み、ミオの顔をなでる。姿勢がまっすぐになり、口の片側で笑う。
レイ「でも、録ってくれと頼んだのは……お前だった。」
ミオ「私、そんなこと頼んでない……」
ヨミ「頼んだのは、あたし。」