『服の店員はなぜ私の寝る姿まで知っているの?』
——測ってないのに?
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絵里が着たコートは肩まで合う。サイズを送っていない絵里が、向かいの裕司を見る。冒頭字幕は開始直後から表示する。
内田 絵里「サイズ、送ってないのに、ぴったり……。」
場所と時刻、名前と関係を字幕で示す。絵里は注文したコートの裾を持ったまま、受け取りに変えたことを話す。
内田 絵里「注文したコート、配達をやめて」
内田 絵里「取りに来ました。」
絵里が首をかしげる。裕司は採寸していないという疑問に答えず、肩の高さまで合わせたと言う。
内田 絵里「測ってないのに、どうして合うんですか?」
竹内 裕司「肩の高さも合わせました。」
裕司が絵里の低い左肩を視線で示す。絵里はコート越しに自分の左肩を押さえる。
竹内 裕司「左の肩が少し低いでしょう。」
裕司は服の説明のような口調で、絵里の寝る向きを口にする。絵里の手が止まる。
竹内 裕司「寝る時は右向きですね。」
絵里は寝る向きを話していないと指摘する。裕司は否定せず、カウンターの伏せた写真へ視線を落とす。
内田 絵里「寝る向きは話してません。どうして知ってるんですか?」
絵里がいつ見たのか尋ねる。裕司は伏せた写真を拾い、まだ裏面を絵里へ向けている。
内田 絵里「私が寝てるところ、いつ見たんですか?」
感動の山: 裕司が写真を表にする。右向きで眠る絵里と、その肩に沿う巻き尺が写っている。昨夜の採寸を認める決め台詞のあと、セリフのない間を残す。写真が見える瞬間だけ低い効果音を入れ、その後は音楽も止める。
竹内 裕司「昨夜、寝てる間に測りました。」
絵里はコートを胸元で握りしめる。裕司は写真を持ったまま、注文で住所を知ったと説明する。
内田 絵里「家に入ったの?」
竹内 裕司「住所は注文で知りました。」
裕司は開いた窓から入ったと言い切る。絵里はコートを握ったまま身を引く。ぴったりの肩と、写真を持つ裕司を同じ画面に残して暗転する。
竹内 裕司「開いてた窓から入りました。」