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『MY IDOL HATES ME』第5話「消された歌」 ・ AI BunCho 公式

第1話第1話:小説版(ノベライズ本編)

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2026/10/24 公開・1,196字

『MY IDOL HATES ME』第5話「消された歌』

——MY IDOL HATES ME』第5話「消された歌

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再生レベルの細い棒が一本上がる。録音機の横に赤いカード。まだ差していない。凪が以前から持つ既存録音の息遣いが鳴る。/キリの録音された短い咳と、床を二度踏む音。字幕を要する言葉はまだなし。

レオが左内ポケットからP02を取り出す。右手で凪の開いた左掌へ渡す。凪はカードを一度見てから、録音機の既存再生を止める。/停止ボタンの音。

レオ「蓮から。原本だ。」

凪「上書きは、しない。」

凪がP02をカードスロットへ。画面「読込」。凪は保存先を「内蔵/新規フォルダ」にする。蓮は画面を覗くがボタンに触らない。/差し込むクリック。読み込みの間は環境音だけ。

蓮「さっきの声、キリだよな。」

凪「俺が残した、練習の音。」

画面「カード音声を内蔵へ複製」。凪が決定。進行表示は数秒で完了する短い音声ファイル分。凪は完了を確認してから複製側を再生する。/決定ボタンの音。複製中は台詞のみ。

レオ「消されたはずじゃ、なかった?」

凪「記録から。俺の中からじゃない。」

複製されたP02の練習音。冒頭と同じ短い咳、同じ二歩。蓮の肩から力が抜ける。凪が既存ファイルと同じ拍を人差し指で二度机に打つ。/カード内の音声。後の都の現在の声と違い、少し室内残響と録音ノイズを付ける。

キリ「もう一回。歌だけは、取られたくない。」

凪が録音機を止める。レオは出口のガラス越しに廊下を確認。凪はカード音声の次のファイルへ進める。/停止と選択ボタン。廊下の台車音。

凪「同じ咳。同じカウント。本人だ。」

蓮「続き、聴かせて。」

画面に「複製済/音声02」と過去の日付。都の削除指示の録音。凪の手は再生ボタンから離れたまま。レオが握っていた拳をほどく。/P02に入っていた過去の指示音声。ややくぐもった単一スピーカーの音。

都「キリの練習記録は、今夜で削除して。」

再生を止め、画面「複製完了」を蓮にも見せる。凪はP02を抜き、透明のカードケースに入れる。ケースごと衣装の内ポケットへ。録音機は机上、内蔵のコピーを残す。/排出ボタン、ケースの蓋の音。

蓮「この声まで、消されるところだった。」

凪「今度は、俺たちが残す。」

リハ用イヤモニにチェック音。レオが片耳を押さえる。凪も自分の受信機を見る。画面奥のリハ用送話マイクに小さな赤灯があるが、まだクローズアップしない。/現在の生きた回線のピッという音。録音機は停止したまま。

レオ「……誰か、回線を開けた?」

現在のイヤモニから都の声。凪は停止中の録音機を見て、次に天井を見る。レオの手が耳で止まり、蓮だけが出口を見る。/都の声は近く乾いたイヤモニ音。キリの録音の残響を付けない。

都「全員、聞こえてる。」

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