『私を捨てた夫が、私の会社に面接に来た』第9話「浮気相手は、真実を選んだ』
——同じ夜・梨花の実家の前
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第8話と同じ夜、梨花の実家の前。健太が門の前で深く頭を下げる。
高橋 健太「梨花、頼む。お前がSNSに投稿したことにしてくれ。俺がやったとバレたら、訴えられるんだ。」
梨花はあきれる。健太は、妊婦ならきっと許してもらえると言う。
佐藤 梨花「どうして私が?」
高橋 健太「妊娠してるんだろ。妊婦なら、きっと許してもらえる。」
健太は、助けてくれたら金を渡すと持ちかける。梨花は実家で、生活に困っている。
高橋 健太「助けてくれたら、金を渡す。お前、生活に困ってるだろ。」
梨花の心が揺れる。お腹に手を当てる。お金があれば、この子のものが買える。
佐藤 梨花「お金があれば……この子の服も、ミルクも買える。」
梨花が自分のスマホを取り出す。おとといの夜、健太が自慢して送ってきたメッセージを、梨花は消さずに残していた。
佐藤 梨花「でもね、健太。これ、覚えてる?」
健太があわてて、メッセージを消せと手を伸ばす。梨花はスマホを引っ込めて、消さないと言う。
高橋 健太「消せ! 今すぐ消せ!」
佐藤 梨花「消さない。」
梨花は、この子に嘘をつく親にはなりたくないと言い、健太を追い返す。
佐藤 梨花「私は、この子に嘘をつく親になりたくない。帰って。」
梨花は門の内側で黙って見送る。健太は門をたたいて悪態をつき、夜の道をひとりで去っていく。
高橋 健太「くそっ……! 覚えてろよ!」
佐藤 梨花「……さようなら、健太。」
*
次の日、梨花は美咲の会社の会議室へ行き、朝から来ていた小野寺にメッセージを見せる。浮気相手は、真実を選んだ。
小野寺 遥「おはようございます。会社の外の弁護士の小野寺です。昨日の夜のメッセージですね。今朝、会社から連絡がありました。公平に調べます。」
佐藤 梨花「はい。会社から電話をもらって。健太から届いたメッセージです。「切り取って流してやった」と書いてあります。私の名前で、本当のことを話します。」
小野寺はうなずく。これで、投稿したのが健太だとはっきりした。
小野寺 遥「ありがとうございます。投稿したのが高橋健太さんだと、はっきりしました。」
佐藤 梨花「投稿したのは健太です。私の名前で、そう話します。」
小野寺が声を落とす。健太が前の会社を辞めた、本当の理由も分かった。そのうえ、まだ仕事を探しているという。
小野寺 遥「それから……健太さんが前の会社を辞めた、本当の理由も分かりました。この話は、まだ続きます。」