『家主はなぜ私を赤いマットから下ろさないの?』第1話「帰りたいのに、命令で足が動かない!』
——降りちゃだめ?
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帰ろうとしている歩美が赤いマットの上で足を動かそうとするが、動かない。最初の字幕は短い問いだけ。
南 歩美「帰りたいのに、命令で足が動かない!」
マットの右側に立つ文子が、守るためだと説明し、手本を見せる約束をする。字幕で両者の名前と関係、場所と時刻を示す。
関口 文子「歩美さん、家主の文子を信じて。私にできないことはさせない。」
人物を映さず、マットの空いている端と床の境目を見せる。文子が動くなと命じたことと、外からの命令に逆らえない決まりを明言する。
関口 文子の声が響いた。「動くなって言ったでしょ。」
関口 文子の声が響いた。「外からの命令には、絶対に逆らえないの。」
歩美の足元から低い腹鳴りのような音がする。歩美は足元へ視線を落とす。画面外の文子も床を見ていることを声で示すが、音の答えは言わない。
南 歩美「足元、何か鳴ってる。」
関口 文子の声が響いた。「見えてるわ。まだ大丈夫。」
歩美が文子へ視線を戻し、先ほどの約束を使って手本を要求する。命令が効く場所から出るための選択。
南 歩美「じゃあ、手本を見せて。場所を代わって。」
文子が命令を解き、両者が隣り合う位置を交代する。終了時、歩美はマット左の床、文子はマット上。マット自体は動かさない。
関口 文子「降りていいわ。命令される前なら戻れるし。」
マット上の文子が左の歩美を見て、床が食べるのはマット上の人だけだと明かす。自分の代わりに歩美をマットへ戻すつもりだと告げる。床の低い音が再びする。
関口 文子「床が食べるのは、マットの上の人だけ。」
関口 文子「あなたを戻すわ。私の代わりに。」
マット左の床にいる歩美が、右の文子を見たまま、自分は帰ると決める。そのために文子をマット上に留める命令を、自分の意思ではっきり告げる。叫ばず、言葉を置く。
南 歩美「私は帰る。あなたは動かないで。」
文子が降りようとするが、体が止まる。マットに乗れば家主も同じだと、動作とセリフで示す。まだ沈まない。
関口 文子「家主でも、マットの上では命令に逆らえない……。」
感動の山: 怖さ。文子の顔が画面下へゆっくり沈み始める。マット上に留められた自分が床に食べられると悟る決め台詞のあと、低音の一撃を入れ、最後の1秒は声も音楽も止める。顔は崩さず、流血もない。
関口 文子「マットの上の私を、床が食べてる……。」
冒頭、マットから文子の後頭部だけが出ている。文子は床の中へ完全に沈み、マットは元の平らな形のまま残る。歩美は左の床から見下ろす。最後は歩美と空の赤いマットだけで閉じる。
南 歩美「床が文子さんを……。私は帰る。」