『親切な大家に取っ手の修理を頼んだら、出口を消された』第1話「親切な大家に取っ手の修理を頼んだら、閉じ込められた』
——夜の防音室/大家の誠・内見客の文
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夜の防音室。帰ろうとする文の前で、大家の誠が外した取っ手を持っている。ドアは開いているが、誠が出入口いっぱいに立っている。窓もほかの出口もない。
石田 文「帰りたいのに、取っ手を外すの?」
誠は内側の取っ手を胸の高さに見せ、修理のために外したと思わせる。文は取っ手と誠の顔を見比べる。
山本 誠「内側の取っ手、ぐらついてて。」
山本 誠「危ないので外したんです。」
文は誠の説明を信じ、取っ手の修理を頼む。ただし帰りたいので、出口の方へ体を向けたままでいる。
石田 文「じゃあ、取っ手の修理をお願いします。」
修理を始めず、誠は部屋の説明を続ける。壁と窓のない室内が見える。文は帰りたそうに開いたドアを見る。
山本 誠「閉めると、外には声も聞こえません。」
文が出口へ寄ると、誠は出入口に立ったまま、親切な口調で中で待つよう頼む。文は修理の邪魔をしないよう足を止める。
石田 文「でも、今日はもう帰ります。」
山本 誠「直しますから、中で待ってて。」
文は内側の取っ手の取り付け穴を見る。窓もなく、閉まればこのドアしか出口がない。誠は取っ手を戻さないまま持っている。
石田 文「これがないと、中から開かないよね。」
石田 文「窓もないし。」
*
誠は取っ手を持って廊下へ出る。文は修理を待って室内に残る。誠は外から開ける確認を装い、開いたドアの外側へ手を添える。
山本 誠「今、廊下から開けてみます。」
怖さの山。誠は室内の文を見て、取っ手を外した本当の理由を一行で告げる。約二秒半で言い終え、無言のままドアを押し閉める。閉まる瞬間に低い効果音を一撃。最後の二秒以上はセリフも音楽もなく、閉まったドアと誠の顔を残す。
山本 誠「閉じ込めるために外したんです。」
*
文は閉じたドアへ手のひらを当てるが、取っ手がないので開けられない。文の声は室内でははっきり聞こえる。カメラは寄らず、逃げ道のない壁とドアを一緒に見せる。
石田 文「開けて! 誰か、助けて!」
*
同じ瞬間の廊下へ切り替わると、文の叫びが完全に聞こえなくなる。誠は閉じたドアの前で取っ手を持ち、部屋を紹介するときと同じ声で締めくくる。修理されない取っ手と、閉じた唯一の出口を最後まで映す。
山本 誠「静かな部屋でしょう。」