『MY IDOL HATES ME』第11話「公開しない秘密』
——蓮(アイドルグループの新センター)
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蓮の掌が指と画面の間に入り、触れずに止める。写真は拡大しない。/短い息。BGMなし。
蓮「出すな。」
晴は自分の名前と『予約者:四宮晴』を示す。海と蓮が画面の両側に立ち、操作を見届けられる位置を取る。/客席の拍手が扉の向こうで薄く残る。
晴「俺の正規アカウント。」
晴「予約したのも、俺だ。」
海は手袋を外さず、机の端を握ってから離す。晴は海の視線を受け、手をキーボードから離して答える。/机が小さく軋む。
海「俺たちの写真を、脅しに使った?」
晴「都さんに言われた。断らなかった。」
蓮が海の目を確かめてから晴へ戻る。海は一度うなずく。晴が取消操作の位置を指す。/端末のファン音と肉声。
蓮「恋は証拠じゃない。これは出さない。」
晴「予約を解除する。立ち会って。」
晴が予約を選択し『予約取消』、確認ダイアログの『取り消す』を押す。29秒までに『取消済/今夜の予約0件』を表示。私的画像は開かず、予約ID・時刻・取消履歴のみ記録する。/確認のクリック音を二回。派手な成功音は付けない。
晴「記録は残す。写真は開かない。」
凪が無地の赤いP02原本を透明カードケースから出し、汐の透明な保管袋へ直接渡す。律は棚からP03を取り、別の保管袋へ渡す。凪の複製媒体は渡さない。/保管袋のチャック音。台詞中は鳴らさない。
凪「赤が原本。控えは、俺が持つ。」
律「帳簿の写し。原帳と照合済み。」
汐が媒体二件、受取時刻、凪と律の名前を記し、二人に見せる。蓮は机から離れず、汐の携帯を目で示す。/ペンの紙音を短く。
汐「受け取った。公開せず、組合へ。」
蓮「キリにも、確認できる?」
汐が従来から使っている保護された連絡経路で音声通話を開く。スピーカーを小音量にして、聞く者を机の周囲へ限定する。/キリは穏やかな成人男性の自然な声。恐怖を煽る加工をしない。
汐「キリ、声を使ってもいい?」
キリ「いいよ。俺はここにいる。無事だ。」
キリの返答に凪が一度目を閉じる。汐が同意の時刻をメモ。蓮は白いP05一枚を取り、自分の名前の欄を見つめる。九枚すべてはまだ署名済みにしない。/キリの声の後、通話は切らず小音量のまま。ペンのキャップ音。
キリ「録音も、俺の意思で渡す。」
都はカードの枚数を見て、一本のペンだけを机へ滑らせる。蓮はペンを拾わず、隣の海と目を合わせる。暗転直前、律の手が別のペンを机へ置く。/ペンが滑る音。都は声を張らない。
都「証言者は、一人でいい。」