『神託機関/ツクヨミ』第2話「赤い光の中のミオを止めろ』
——第1話の続き/手動ブレーキで止める/あと26秒
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第1話の直後。恋人のレイを閉じ込めた搬送カゴが、処刑炉の縦坑をレールに沿って降りていく。下では炉が赤く光る。ミオは恋人を救うために追う。
レイ「ミオ! 手動ブレーキを引け! あと26秒!」
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審判室の床の丸い穴。白い衣装のミオが黄色い点検用の梯子に飛びつく。ガラスの操作室に閉じ込められた父ツグミが、ガラスを叩いて叫ぶ。
ミオ「お父さん!」
父ツグミ「黄色い梯子を降りた先だ! そこに手動ブレーキがある!」
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ミオは梯子を降りて点検足場に着き、壁の黄色いレバーを右手で引く。動かない。レバーのAIの錠は赤く光ったままだ。上からAIの赤い照準光がミオの顔に当たり、AIが規則を告げる。
ミオ「右手で引いても、動かない……!」
ツクヨミ(AI)の声が響いた。「赤い光を浴びると、お前の中のヨミが出る。」
赤い光を浴びたミオの姿勢がまっすぐになり、首が少し右に傾く。口の片側だけで笑い、低い声で話す。右手を離し、左手でレバーをつかむ。
ミオ「右手が……動かない。」
ヨミ「どいて。あたしがやる。――ミオじゃない。ヨミだ。」
もう一人は赤い光の点滅を見つめ、光が消えてAIの錠が外れた一瞬に左手でレバーを引く。ブレーキの爪がレールを挟み、カゴが止まる。下では炉の扉が開く。
ヨミ「赤い光が消えた……AIの錠が外れた、今! ミオの記憶から、この瞬間は知ってる!」
下で炉に火が入り、カゴが着くはずだった場所に炎が上がる。もう一人は左手でカゴの扉のロックを外し、レイを引っ張り出す。レイは彼女の左手を見て、はっとする。
ヨミ「早く出な。」
レイ「左手……。ミオは右利きなのに、なんで左手で……!?」
レイがミオの肩をつかみ、名前を呼ぶ。「レイが名前を呼ぶと、ミオに戻る。戻ったミオは、ヨミが出ていた間を覚えていない」とAIが告げる。ミオが「え、今の声……」とぼんやりする間をはさみ、「何も覚えてない」と短く言う。姿勢がやわらぎ、右手で自分の胸を押さえる。いつものミオに戻ったが、カゴが止まったことを覚えていない。
レイ「ミオ、戻ってこい!」
ツクヨミ(AI)の声が響いた。「レイが名前を呼ぶと、ミオに戻る。レイの声がミオを呼び戻す。戻ったミオは、ヨミが出ていた間を覚えていない。」
ミオ「え、今の声……。何も覚えてない。」
ミオ「カゴ、誰が止めたの?」
天井の扉がAIの操作で閉まり、上には戻れない。二人は足場の奥の古い扉の丸いハンドルを一緒に回して開ける。
ミオ「上には戻れない。」
ツクヨミ(AI)の声が響いた。「逃走を確認。」
レイ「手で回す扉はAIには動かせない!」
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同じころ、上の審判室。ガラスの操作室に閉じ込められた父ツグミが、ガラス床ごしに階下の〆の施錠扉(封印)の赤い光を見下ろし、下でヨミが起きたとつぶやく。法衣の胸元から古い真鍮の鍵を取り出して握る。
父ツグミ「下でヨミが起きたな……。今度こそ、ミオの中のヨミを止める。この鍵で、階下の封印の錠を開ける。」
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二人は古い整備通路を抜けて、夜の大通りへ出る。ミオが、自分が何をしたのか尋ねる。レイは目をそらしてから答える。
ミオ「私……何をしたの?」
レイ「赤い光を浴びると、お前の中のヨミが出る。……昔から知ってた。」
ミオ「知ってたの……? ずっと、黙ってたの?」