『姉が私の髪を一本も捨てずに集めていたのはなぜ?』
——足が動かない
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冒頭から、立とうとしても足が動かず、恐怖で目を見開く結衣の顔を寄りで見せる。すぐに画角を広げ、朝の姉妹の自宅の居間と、ベンチから立てない結衣を見せる。姉の真奈は隣で平然と妹の髪をとかしている。人形は姉の左手で膝の横に隠れている。
高木 結衣「会社に行きたいのに、足が動かない。」
真奈は妹を座らせたまま、世話をするように髪をとかし続ける。
高木 真奈「座ってて。私がとかしてあげる。」
真奈は抜けた黒い髪の絡んだブラシを自分の胸元へ戻す。髪を集めてきたことを、穏やかに話す。
高木 真奈「毎朝抜けた髪、一本も捨ててないの。」
真奈が左手の人形を膝より上へ出す。半透明の胸部分に黒い髪が詰まり、足は付属のひもで結ばれている。結衣が見る。
高木 真奈「人形に、あなたの髪を入れたの。」
結衣は人形の結ばれた足と、自分の動かない足を見比べる。真奈は答えず、人形を持ったまま見つめる。
高木 結衣「その人形、どうして足を結んだの?」
真奈は質問を流し、また髪をとかす。結衣はその手を怖がり始める。
高木 真奈「立つと危ないよ。とかしてあげる。」
結衣が病院へ行きたいと訴える。真奈はブラシをベンチの自分の右側に置き、人形を左手に残す。
高木 結衣「病院に行きたい。髪はもういい。」
怖さの山。真奈が髪入り人形の腕を持ち上げると、結衣の腕も同時に勝手に上がる。決め台詞は冒頭の二秒半以内に終え、その後は三秒間、姉妹の顔と上がった腕を無言で見せる。腕がそろった瞬間に低い効果音を一撃だけ入れ、以後は無音。
高木 真奈「その髪で、あなたを動かせるの。」
真奈は人形の腕を下ろす。結衣の腕も下がる。真奈は髪を集めた目的を言い切り、親切ではなかったと確定させる。
高木 真奈「家にいてほしくて、髪を集めたの。」
真奈が足を結んだままの人形を前へ傾ける。結衣も同じ角度へ前かがみになり、自分では戻れない。妹の言葉の後も姿勢を固定したまま画を止め、姉に体を支配された結末で閉じる。
高木 結衣「私の体なのに、動かせない。」