『毎晩聞こえる隣の私の声、鏡の前で笑っていたのは姉でした』
——深夜のアパート
────────────────────────
深夜、智也が廊下で立ち止まり、隣の部屋から自分の声を聞いて固まる。
小野 智也「今、僕の声がした…」
智也が隣の扉をのぞき込み、空き部屋のはずだとつぶやく。
小野 智也「会社員の智也、隣は空き部屋のはず」
翌朝、智也が大家の白石に相談し、白石は空き部屋だと言う。
白石 恵「隣は空き部屋ですよ。あの部屋は今、手続き中で」
小野 智也「でも毎晩、僕の声が」
白石 恵「気のせいでしょう。鍵は預かってますから」
その夜、また隣から智也の話し方そっくりの声が聞こえる。
小野 智也の声が響いた。「この話し方、僕と同じだ。なんで知ってるんだ?」
小野 智也の声が響いた。「毎晩聞こえるこの声、まさか誰かが僕の真似を?」
智也がおそるおそる隣の扉に近づくと、扉が少し開いている。
小野 智也「鍵が開いてる…」
*
智也が中に入ると、奥に鏡が立っているのが見える。
小野 智也「鏡、誰かが来たのか」
鏡の前に女の人の姿が映っているのを、智也が目にする。
小野 智也「だ、誰かいる!」
鏡の前の女の人が振り返る。それは智也の姉の真由だった。
小野 真由「弟の話し方、覚えたくて」
小野 真由「驚かせてごめんね、智也」
真由が、隣に越してきて面接の練習をしていたと説明する。
小野 真由「仕事さがし。ここに越してきたの」
小野 真由「面接の練習をしていたの」
智也は怖がっていただけだと分かり、姉と笑い合う。
小野 智也「驚いただけか。よかった」