『姉と部屋の時計を外したら、音だけが私についた』
——夜の自宅の居間。妹の桃と姉の杏
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夜の自宅の居間。妹の桃が壁時計を外す瞬間から始める。時計の音は止まらず、姉の杏だけがほっと息を吐く。
水野 桃「時計を外したのに、うるさくて眠れない!」
桃が姉に時計を見せる。杏は時計に触れず、桃に外すよう頼んだことを認める。
水野 桃「お姉ちゃんが外してって頼んだのに。」
水野 杏「うん。私が頼んだ。」
桃が時計の裏を見せる。電池入れは空で、文字や印刷はない。音だけは規則正しく鳴っている。
水野 桃「電池、入ってない。何が鳴ってるの?」
桃が時計を壁に掛け戻すが音は止まらない。空いた手を自分の胸へ当て、振動を感じる。
水野 桃「戻しても止まらない。胸まで響く。」
桃が今度は姉に時計を外すよう頼む。杏は時計から体を引き、はっきり断る。
水野 桃「お姉ちゃんも外してみて。」
水野 杏「私は、もう触らない。」
桃が胸を押さえる横で、杏も自分の胸を確かめる。杏の表情から緊張が消える。
水野 桃「お姉ちゃん、何を確かめてるの?」
水野 杏「私の胸。静かになった。」
桃が壁の時計から離れながら胸を押さえる。カチカチという音量は下がらず、胸の振動と一致する。
水野 桃「時計じゃない。私の胸が鳴ってる。」
感動の山: 怖さ。杏が音の移動を言い切る。約二秒で決め台詞を終え、低い衝撃音を一度鳴らす。その後は三秒間セリフも音楽もなく、杏の視線を保つ。
水野 杏「私の胸の音、桃に移った。」
杏が過去と狙いを短く明かす。桃は壁の時計と姉を見比べ、頼みごとの本当の意味を理解する。
水野 杏「私も外して、胸が鳴ってた。」
水野 杏「移るか試そうと、桃に外してもらった。」
桃が両耳をふさぐ。外の音は遠のくのに胸のカチカチだけは残る。姉から妹への移動が完了した結末として、桃の動かない姿で暗転する。
水野 桃「耳をふさいでも、胸の音は消えない。」