『嘘つきは選ばれない』第3話「マイクを切られても、私たちは歌う』
——合宿2日目の夜 センター審査
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合宿2日目の夜、センター審査。ステージで歌い出した瞬間、アイヴィのマイクの音がぷつりと消える。アイヴィとノラが凍りつく。
ノラ・ベル「マイクが、死んでる……!」
客席の後ろの音響卓。フェーダーに手をかけたまま固まるジェイドの耳元で、シエナが笑う。
シエナ・ヴァンス「これで終わりね。センターは私のもの」
アイヴィはマイクを下ろし、ノラに目で合図する。二人はマイクなしのアカペラでハモり始める。
アイヴィ・シンクレア「マイクが死んでも、歌える。ノラ、ハモって」
ノラ・ベル「うん、いける!」
クレインが身を乗り出し、片手を上げて音響の復旧を止める。アカペラの二人の声がホールに響く。
ヴィクター・クレイン「音は要らない。続けろ」
歌い終えた二人に拍手が起きる。クレインは誰でもいいと告げ、次にマイクなしで歌えと命じる。指名されたシエナが青ざめる。
ヴィクター・クレイン「マイクがあるから歌える、ではない。次、誰でもいい。マイクなしで歌ってみろ」
シエナ・ヴァンス「え……今、ですか」
ステージ中央に立ったシエナが「マイクなしなんて無理」と小声でこぼす。それでも歌い出すが、声は細く震え、高音でかすれて止まる。
シエナ・ヴァンス「マイクなしなんて無理……」
シエナ・ヴァンス「……待って、最初から……」
ジェイドが音響卓から前に出て、深く頭を下げる。正直に話したジェイドを、クレインは残すと告げる。
ジェイド・モレノ「マイクを切ったのは私です。シエナに言われて」
ヴィクター・クレイン「正直に言ったな。お前は残す。嘘をついたシエナは、規約どおり失格だ」
クレインが冷たく告げる。シエナの審査員点は最下位。シエナは膝から崩れ、ジェイドはシエナから一歩離れる。
ヴィクター・クレイン「命令して嘘をつかせた。シエナ・ヴァンス、即脱落だ」
そこへ合宿マネージャーのマーサーが結果の封筒を手にステージへ上がり、封を切る。読み上げられたのはアイヴィの名前。アイヴィとノラが凍りつく。
グラント・マーサー「シエナの失格で審査員点は無効。あとは投票だけで決まります」
グラント・マーサー「投票の結果、今夜の脱落者は――アイヴィ・シンクレア」
ノラ・ベル「そんな……!」