『私を捨てた夫が、私の会社に面接に来た』第4話「婚姻届を、彼は破った』
——その夜・アパート。梨花が出した婚姻届を、健太が破った
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第3話と同じ日の夜、健太と梨花のアパート。梨花が差し出した婚姻届を、健太が目の前で破る。
佐藤 梨花「やめて!」
高橋 健太「結婚なんか、しない。」
破れた婚姻届が床に落ちる。梨花は、区役所で母子手帳と一緒にもらってきたのにと泣く。
佐藤 梨花「区役所で、母子手帳と一緒にもらってきたのに……」
高橋 健太「誰が書くかよ。」
梨花は「この子のお父さんになって」と頼む。健太は、今日も面接に落ちたと言い、父親なんか無理だと突き放す。
佐藤 梨花「お願い。この子のお父さんになって。」
高橋 健太「今日も面接に落ちたんだ。父親なんか無理だ。」
健太は、昼間ロビーで美咲に何を言われたのかと問い詰める。梨花は、美咲は浮気などしていなかった、嘘だったんだと言い返す。
高橋 健太「昼間、美咲に何を吹き込まれた?」
佐藤 梨花「美咲さんは浮気なんてしてなかった。嘘だったんだね。」
健太は開き直り、美咲とやり直す、あいつには金も仕事もあると言い放つ。
高橋 健太「うるさい。俺は美咲とやり直す。あいつには金も仕事もある。」
佐藤 梨花「……最低。」
梨花は短く笑う。美咲さんは健太の嘘を全部知っている。やり直せるはずがない。
佐藤 梨花「やり直す? 無理よ。美咲さんは、あなたの嘘を全部知ってる。」
梨花が、美咲の名刺を見せる。困ったときの相談先も、美咲さんが教えてくれた。健太は目を見開く。
佐藤 梨花「困ったときの相談先も、美咲さんが教えてくれた。」
高橋 健太「美咲の名刺……!?」
梨花は、断られたら出ていくと決めて用意していた白いスーツケースを引いて、玄関へ向かう。この子は私が育てる。
佐藤 梨花「出ていくのは私。この子は、私が育てる。」
健太があわてて「家賃はどうするんだ」と叫ぶ。梨花は「自分で払って」と言い返す。
高橋 健太「待てよ! 家賃はどうするんだ!」
佐藤 梨花「自分で払って。」
梨花は玄関で振り返り、実家に帰ると告げて、健太に別れを言って出ていく。
佐藤 梨花「実家に帰る。さようなら、健太。」
ドアが閉まる。一人になった健太は、破れた婚姻届を蹴り飛ばし、金だとつぶやく。
高橋 健太「くそっ……金だ。金さえあれば……」
健太がスマホを取り出し、美咲の番号を探す。美咲に借りればいい。
高橋 健太「そうだ……美咲に借りればいい。」