『母の許可より、私の返事』
——母の許可より、私の返事
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無言の先行hook:夫が湯飲みを手に取り、妻の前へ置こうとする。(冒頭では発話しない)。
夫が妻の前へ湯飲みを置き終える。
圭「母さん、反対するだろうな。」
妻が来客の椅子を引く。
美緒「お義母さんに、私が聞く。」
玄関の戸が開く音。美緒がそちらへ目をやり、母が姿を見せ、鞄を置いてダイニングへ入って立ち止まる。
志保「何の話? 今日、初めて聞いた。」
妻が母へ顔を向ける。
美緒「私の転職。反対なんですよね。」
志保「何も聞いてないわよ。」
圭「……母さん、知らなかったのか。」
母は腰を下ろさず立ったまま、妻の返事を待つ。
志保「決めるのは、美緒さんでしょう。」
夫が二人の間へ割って入る。
圭「母さんはともかく、家のことが変わるし。」
妻が夫へ向き直る。
美緒「反対なのは、圭?」
母が、卓上のまだ手をつけていない客用のカップを手に取り、脇へやる。
志保「私を、盾にしないで。」
志保「このカップも、私は使わない。」
夫が初めて自分を主語にする。
圭「帰りが遅くなるの、嫌だった。」
妻が夫の隣に椅子を移す。
美緒「それなら、私に言って。私、この仕事を続けたい。」
母が自分の鞄を手に取る。
志保「今日は二人で、話しなさい。」
夫が食器を片付け始め、妻が話を聞く。
圭「家事、一緒に考えたい。」