『同居人に寝顔を見ないでと頼んだ夜、お茶の横に小瓶が』
——眠るのが怖い
────────────────────────
春菜は画面右の冬美を見つめ、寝顔を見られる怖さと、安心して眠りたい望みを伝える。最初の短い字幕は冒頭から表示する。1秒後に名前と同居関係を示し、同じ部屋で寝顔が見える距離にいることを伝える。
高橋 春菜「寝てる私を、毎晩見てるの?」
高橋 春菜「今日は安心して寝たい。」
冬美は春菜を見て、お茶を勧める。テーブルには同じ白いカップがそれぞれの席の前にあり、中央に小瓶が置かれている。名前と関係、場所と夜を字幕で紹介する。
伊藤 冬美「同じお茶だよ。飲んで。よく眠れるよ。」
春菜は中央の小瓶を見下ろして疑う。小瓶には触れず、画面右の窓へ視線を移して、冬美にもそちらを見させるために嘘をつく。
高橋 春菜「冬美、窓の外。何か動いた。」
冬美は画面外で右の窓を見ている。春菜は窓へ向いた冬美を確かめ、視線を下げ、画面下へ手を伸ばす。画面外のテーブル上でカップを交換するが、このカットではカップも交換の完了も見せない。実際には、元の春菜のカップが冬美の前、元の冬美のカップが春菜の前に置かれる。春菜はまだ、どちらのお茶にも薬が入っているとは知らない。
春菜に向き直った冬美は、自分の前にあるカップのお茶を飲み、テーブルへ戻す。交換には気づいていない。春菜はまだ飲んでいない。
同じ部屋で時間がたち、冬美のまぶたが重くなる。お茶は置いたまま。冬美は、まだ飲んでいない春菜に飲むよう促す。
伊藤 冬美「眠くなってきた。春菜は、まだ飲まないの?」
春菜は、自分の前にあったお茶を飲んだ冬美の眠気と、中央の小瓶を結びつけて疑う。飲んでいないお茶には触れず、画面右の冬美を見て、小瓶の中身をお茶に入れたのか問いただす。
高橋 春菜「その小瓶の中身、お茶に入れたの?」
冬美は眠気で目を細めながら、小瓶が眠る薬であり、春菜の寝顔を見るためだったと告白する。これでお茶への疑いが事実になる。ただし、両方のカップに薬を入れたことはまだ明かさない。冬美は春菜のカップ交換も知らない。
伊藤 冬美「眠る薬。寝顔をずっと見たくて。」
春菜は、お茶を交換したと冬美に明かす。冬美が飲んだのは元の春菜のカップだったと初めて確定する。春菜は交換先のお茶なら安全だと信じ、「私はこっちを飲む」と自分で決める。台詞の後、右手で自分の前のカップを持ち上げ、一口飲んで同じ場所へ戻す。この選択によって、春菜自身も薬を飲んでしまう。
高橋 春菜「お茶は交換した。私はこっちを飲む。」
春菜は、自分だけは安全だと信じ、冬美を見たまま今夜は自分が寝顔を見る番だと告げる。台詞を冒頭約2秒で言い終え、その後は口を閉じたまま冬美の返事を待つ。勝利を確信した静けさを作り、次の冬美の一言で覆す。
高橋 春菜「今夜は私が、寝顔を見る番。」
怖さの山。冬美は春菜を見て、両方のお茶に薬を入れたと明かし、一緒に眠ろうと告げる。台詞を冒頭約3秒で言い終える。「同じお茶」という最初の言葉の意味が変わり、春菜の交換と勝利の確信が無効になる。低い効果音を一撃入れ、以後は無言。冬美はまぶたを閉じ、頭がわずかに下がり、最後は完全に眠って動かない。
伊藤 冬美「どっちにも薬、入れたよ。一緒に眠ろう。」
しばらく後。同じ部屋、同じ夜。冬美は画面外で眠ったまま。春菜は、見る側でいられない恐怖を目に浮かべ、画面右の冬美を見ている。冒頭でまぶたが閉じ、頭がわずかに下がる。最後は目も口も閉じたまま眠る。飲んだカップは春菜の前に残る。今回の対立は、交換して逃れたはずの春菜も眠らされる結末で閉じる。