『採点する人から、洗ってください』
——夜の台所。義母が皿を洗い直しさせようとしている。
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無言の先行hook:義母が一枚の皿を妻へ差し戻す。
義母が一枚の皿を妻へ差し戻す。
英子「里帆さん。航の母として言うけど、このお皿、洗い直し。」
妻が夫へ視線を向ける。
里帆「洗ったのは、航です。」
義母が妻へ布巾を差し出す。
英子「あら。でも、仕上げはあなたが。」
夫が椅子に座ったまま言う。妻が皿を義母の手から受け取る。
航「それぐらい、やってよ。」
里帆「航。夫でも、自分が洗った皿は自分で仕上げて。」
妻が皿を持ったまま流しへ向き直る。
里帆「二人とも、基準は同じですよね。」
妻が皿を流しへ戻し、義母が布巾を義母と夫の間の台に置く。
里帆「採点するなら、採点した本人が先に洗ってください。」
義母が布巾へ手を伸ばし、取らずに置いたままにする。
英子「私は、教えてあげてるの。」
妻が夫の椅子を示す。
里帆「なら、洗った本人に。」
夫が初めて皿を受け取り、自分の手で持つ。
航「どこが残ってるか、俺には分からない。」
英子が採点表を伏せ、息子の航に皿の洗い残しの確かめ方を教える。
英子「もう採点はやめる。航、洗い方を覚えなさい。」
英子「裏側。ここを、指で確かめて。」
義母が布巾を取り、夫の手にある皿をひと拭きする。妻は自分の湯飲みを持って一歩下がる。
英子「一緒に覚えましょう。責めるためじゃなく。」
里帆「次から、仕上げも本人で。」
感動の山: 航が皿を持って立ち、自分で片付けると引き受ける。
航「今日は俺が片付ける。」