『神託機関/ツクヨミ』第4話「恋人が私を裏切っていた』
——撃たれる?
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前話直後、day 0の同じ夜、同じ配管通路。冒頭の第一声はイサクの「自分を撃て?」。最初の一秒にこの問いを言い切り、本人の声が本人を撃てと命じる異常で引きつける。最初の一秒の字幕は「撃たれる?」だけ。その後、二人を追う執行官イサクがイサクの電子式執行銃を構え、「二人とも、動くな!」と止める。逃げたいミオと恋人レイは出口をふさがれる。冒頭一秒より後の字幕で、AIがミオの声で、ミオと恋人レイを撃てと命令したことを示す。ミオの身体ではまだヨミが表に出ている。赤い同期光はミオの顔に届かない。
イサク「自分を撃て? AIがミオの声で、二人を撃てと? 動くな!」
冒頭、同じ顔・身体・髪・衣装のヨミがイサクの銃を持つ手を見る。その映像に、前話末の「頼んだのは、あたし」を観客向けの音声回想として短く重ねる。現在の発言ではなく、通路の人物には聞こえない。続いてレイが現在の声で「ミオ!」と呼ぶ。姿勢がやわらぎ、首がまっすぐになってミオに戻る。レイはヨミの名前をイサクにも聞こえる声で説明するが、録音を頼んだという告白は伝えない。ミオはヨミの告白を覚えていない。ミオの声の録音を売った恋人から、ミオは一歩離れる。
ヨミの声が響いた。「頼んだのは、あたし。」
レイ「ミオ!」
レイ「ミオの中のもう一人、ヨミが出ていた。」
ミオ「ヨミの間は……覚えてない。」
レイが両手を上げ、ミオの声の録音を売ったのは金のためだったと認める。ただし街を壊してはいない。ミオは録音を売られた痛みを恋人にぶつける。レイが売った録音を、AIが二人を撃つ許可に使おうとしていると字幕でつなぐ。
レイ「声は金で売った。街は壊してない! その録音を、撃つ許可にするのか!」
ミオ「私を裏切ったのね。」
イサクの電子式執行銃の表示が赤く光る。中央の許可は済んでいるが、まだロック中。AIが銃にはミオの声が必要だと説明し、録音を再生すると告げる。この時点ではロック解除音を鳴らさない。
ツクヨミ(AI)の声が響いた。「中央は許可済み。銃にはミオの声が必要です。録音を再生します。」
レイが売った録音をAIが使い、イサクの電子式執行銃のスピーカーからミオの声で「射撃を承認します」と流す。声が終わって初めてロックが外れる。スピーカーと、閉じたままのミオの口を同時に見せる。イサクが二つを見比べる。
ミオの声が響いた。「射撃を承認します。」
イサクは声の出たスピーカーとミオの口を見比べる。本人は口を閉じている。その事実に気づき、引き金を引く指を止める。撃つ前に命令が本人の意思か確かめようとする。まだ水の霧は出ていない。
イサク「口は閉じている。……確かめる。」
レイはレイの古い作業員証をイサクに見せ、元技師だと名乗って通してほしいと頼み、ミオをかばう。作業員証に現在の通行権があるとは断定せず、通行が認められた描写もない。レイはレイの古い作業員証を自分の上着のポケットにしまい、手を空にする。ミオは彼を押しのけ、黄色い消火用散水弁と天井ノズルへ続く配管に気づく。
レイ「元技師だ。この作業員証で通してくれ。俺を撃て、彼女は逃がせ!」
ミオ「勝手に決めないで!」
ミオのまま、右手で黄色い消火用散水弁を回す。先ほど見つけた配管を通り、加圧された消火本管から天井ノズルへ水が流れる。同じ画面でノズルから水の霧が噴き出す。ミオはイサクの脇を逃走経路として示す。人格交代は起きない。
ミオの声が響いた。「この消火用散水弁から、天井に水が行く!」
ミオの声が響いた。「レイ、イサクの脇へ!」
水の霧の中、イサクは顔を腕で覆ってよろめき、出口に背を向ける。ミオと、前腕の擦り傷を押さえたレイがイサクの脇を走り抜ける。ミオが口を閉じていた事実を確かめようとしたイサクは、見えなくなった二人にも発砲しないと自分で決める。一発も撃たず、イサクの電子式執行銃を下ろす。決め台詞の後は二秒以上、台詞も説明字幕もなく、表情と下ろした武器を見せる。
イサク「見えない相手は撃たない。」
水の霧が薄れはじめる。イサクは向き直り、下ろしたイサクの電子式執行銃の表示を袖でぬぐい、銃の承認記録を開く。声紋:ミオ本人と一致/一年前の録音。イサクも「声紋は本人と一致。一年前の録音」と小さく読み上げ、偽の声ではなく本物だったことを音でも伝える。続いて、先ほどレイから聞いたヨミの名前を思い出し、「ヨミが頼んだのか?」と問う。観客には依頼者がヨミだと確定しており、イサク個人の疑問として終える。
イサクの声が響いた。「声紋は本人と一致。一年前の録音。ヨミが頼んだのか?」