『MY IDOL HATES ME』第4話「声の罠』
——切り貼りされた蓮の声
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一つの声の波形が不自然に継ぎ目で跳ねる。赤い再生位置と蓮の小さな顔写真。投稿ではなくローカル再生画面と明示。/単語途中のブツッという継ぎ目。
晴が再生。端末のスピーカーから蓮に似た声。蓮が反射的に端末へ顔を寄せる。晴は音量を下げず反応を見る。/自作の切り貼り音声。薄い室内反響。
蓮「練習生なんて、消えていい。」
蓮「俺の声だ。」
蓮は一度息を吸い、語尾を思い出す。晴の手に触れず、端末を指で示す。/再生は止まる。蓮の言葉の頭を明瞭に。
蓮「でも、その言い方はしてない。」
蓮「「消えていい、なんて言うな」だ。」
晴は笑顔を作ろうとして、口角だけを止める。端末を裏返す。蓮からレオへの視線を晴は見落とす。/廊下のリハーサル準備音。人声は内容を聞き取れないガヤ。室内は静か。
晴「出回れば、言い訳は届かない。」
晴は蓮の椅子を軽く引く。蓮は座らない。レオが扉を背に一歩近づく。/椅子脚の小さな音。
晴「先に謝れば、俺が守れる。」
蓮「何を、謝るの?」
晴が端末の保存画面へ目を落とす。蓮は左内ポケットから右手で赤カードを出す。レオは視線を動かさず右の手袋を下げる。/衣装の布音。台詞は晴へ向けた通常の声。
蓮「切った声で、俺の気持ちを決めるな。」
蓮の右手からレオの右手へP02を渡す。カードの赤を1秒見せる。レオが閉じた掌を一度下げ、左の内ポケットへ入れるまで同じカット。/カードがレースに触れる微音。
レオ「凪なら、カードを読める。」
蓮「赤いのは、原本だ。」
晴は二人の低声に顔を上げるが、レオは空の両手を自然に下ろす。晴の端末に保存完了通知が出る。蓮だけが画面の下欄を見る。/保存完了の短い音。
晴「今のうちに、謝罪の顔を作って。」
蓮の目が通知から、その下の編集者欄へ止まる。晴は端末を持ち上げようとする。蓮は制止せず、声だけで留める。/空調音を残し、BGMを切る。
蓮「晴。この音声、どこで作った?」
架空の素材詳細に「編集者:四宮 晴」「公開:未設定」。蓮の反射がガラス面に小さく映る。晴の口が一度開くが声は出ない。暗転。/画面を握る指の微音。返信も音楽もなし。
蓮「編集者……お前じゃん。」