【公式映像脚本】『MY IDOL HATES ME』第10話「Dance in the Silence』
キャッチコピー:音楽なしで踊れる?
■ 登場人物
・律(26歳・182cm。リーダー、静かな統率。練習生費用を肩代わりし事務所に借りがある。)
・凪(24歳・176cm。歌担当、穏やかで鋭い。消された練習生記録の音声を保管。)
・海(25歳・180cm。語学・交渉。鏡室の報告役を強制され、蓮を守るため偽装している。蓮の恋人(相思相愛)。)
・レオ(23歳・178cm。ダンス、短気で義理堅い。ユウの明細に自分の筆跡があり罪悪感。)
・蓮(24歳・179cm。主人公、新センター、観察眼。元練習生キリの復帰を願い、海との秘密の恋を隠す。)
・晴(27歳・181cm。広報担当、世話焼き。編集した蓮の声を脅しの素材として再生した。庇護と管理を混同。)
・伊織(26歳・183cm。振付師、寡黙。マイクの点灯と録音を見抜く。新曲振付の作者名を奪われた。)
・ユウ(22歳・174cm。最年少、明るいが不眠。家族宛の架空費用請求で支配されている。)
・セナ(28歳・184cm。作曲兼最年長、皮肉。鏡室システムの設計に協力。停止権限はない。)
■ 本編カット割り台本
【シーン 1】
◆ s01(1秒)
ト書き:伊織が片足をその場で踏む。床を蹴り上げず、音を出すだけの安全な低い踏み込み。/足音一発を大きく。BGMなし。
テロップ:[音楽なしで踊れる?]
伊織「踏め。」
◆ s02(14秒)
ト書き:伊織から律、レオ、ユウの順に同じ一歩が伝わる。全員が二拍止まり、一斉に息を吐く。/三回の靴音と一回の呼吸を基礎リズムにする。
テロップ:[事務所の鷹見が音楽を止めた。名前と記録を返してほしい。足音で踊ろう。]
テロップ:[伊織は振付の作者名を奪われた。歌担当の凪は、消された練習生記録の音声を持っている。]
テロップ:[蓮・グループの新センター]
テロップ:[海・蓮の秘密の恋人]
テロップ:[蓮と海は恋人同士。そのことは秘密にしている。]
テロップ:[レオ・グループのダンス担当]
テロップ:[ユウ・グループの最年少]
テロップ:[晴・グループの広報担当]
伊織「音は、ここにある。」
◆ s03(10秒)
ト書き:伊織が開いた右掌を胸の前で止め、左肘をゆっくりほどく。律が同じ動きを受け、残る七人へ目線を送る。言葉の間は足を止める。/動きの停止に合わせ、床音も止める。
テロップ:[Ritsu · the group's leader]
テロップ:[Nagi · the group's singer]
テロップ:[セナと凪は、この画面の外で踊っている。]
テロップ:[Sena · the group's composer]
テロップ:[消された振付の作者名を、自分の名前に取り戻すために。]
伊織「俺の振付だ。俺の名前で踊る。」
律「全員で、受け取る。」
◆ s04(8秒)
ト書き:凪がマイクを自分で持ち上げる。他の八人は掌を下げて静止し、凪の言葉を邪魔しない。/凪の肉声。既存曲を歌わず、文章として発する。客席のざわめきが一度だけ上がる。
テロップ:[消された練習生記録の音声を持つ凪が、生声で求める。]
凪「俺たちの記録を返せ。」
◆ s05(8秒)
ト書き:ユウの一歩が少し遅れる。レオは腕で引っ張らず、自分の足を止めてユウの呼吸を待つ。二人が同時に次の一歩へ進む。/一拍の空白を恐れず残す。呼吸から靴音へ。
テロップ:[足音を合わせるために、まずユウの息を待つ。]
レオ「遅れていい。置いてかない。」
ユウ「今は、ちゃんと息ができる。」
◆ s06(8秒)
ト書き:鷹見からの『記録停止』という短文通知をセナが見て晴へ示す。晴は通知を払って録画を継続し、端末を固定台へ戻す。/通知は小さく一度だけ振動。足音は後列で続く。
テロップ:[鷹見・事務所責任者:舞台の録画を止めろ。]
テロップ:[晴は舞台の記録を残すため、公演記録端末の録画を続ける。]
テロップ:[晴のスマートフォン:写真は未公開。公開予約あり。]
セナ「切れって、来てる。」
晴「俺は、回し続ける。」
◆ s07(8秒)
ト書き:九人の掌が胸の高さで開く。腕を大きく振らず、肘の角度だけが隣へ一拍ずつ伝わる。律は客席を見て名乗る。/足音を止め、律の声と九人の呼吸のみ。
律「俺たちは、9人のNINE//VEIL。」
◆ s08(10秒)
ト書き:海が蓮の一歩前へ出かける。蓮が半歩横へ移り、海の掌と触れない距離で自分の掌を並べる。二人は同じ線で客席を見る。/布の擦れと二人分の靴音。
テロップ:[秘密のまま。海は前で守ろうとし、蓮は隣を選ぶ。]
海「ひとりで前に出るな。」
蓮「じゃあ、隣へ。」
◆ s09(10秒)
ト書き:伊織が掌を閉じず、ゆっくり下ろす合図で九人が停止。短く礼をして袖へ戻る。客席の反応を勝利の大歓声にせず、散発的な拍手から広げる。/最後の一歩の後、拍手が少しずつ増える。
テロップ:[公演記録端末は録画を続ける。舞台を終えるのは、伊織の合図。]
テロップ:[名前と練習生記録の返還は、まだ実現していない。]
伊織「止めるのも、俺たちだ。」
◆ s10(13秒)
ト書き:正規アカウントの担当者通知が出る。サムネイルは黒い手袋と肩の一部だけで、恋人の顔や詳細を表示しない。晴の笑顔が消える。残り時間を一秒だけ進める。/拍手を遠ざけ、端末の通知音を一音。
テロップ:[晴のスマートフォン:写真は未公開。公開予約あり。]
テロップ:[蓮と海の写真。晴が公開予約した。]
テロップ:[蓮と海の写真を、俺が公開予約した。あと90秒で、みんなに見られてしまう。]
晴「これ……俺が入れた予約だ。」