『試食は、二回まで』
——本音を言える?
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冒頭一秒、栞が差し出す一回目の試食のスープを前景に、千夏の笑顔が緊張で固まる。栞は味が悪かった場合にも正直に言えるかと尋ねる。まだ誰も飲まない。記入済みの応募用紙は栞がすでに読んでおり、記入面を伏せてある。自己紹介と字幕で人物・望み・問題を伝える。
栞「まずくても、正直に言える?店主の栞です。応募の千夏さんね。」
栞は一回目の試食のスープを持ったまま、空いている手で二回目の試食用の空のカップを示す。
栞「あなたの試食は、二回までです。」
千夏は一回目の試食のスープを一口だけ試食する。しょっぱいと感じても無理に笑う。栞はカップを持ち続ける。
千夏「おいしいです。」
栞が自分のスプーンで一回目の試食のスープを確かめる。千夏は追加で飲まない。
栞「本当に? もう一度だけ聞く。」
栞の本当の味を求める頼みに、千夏が正直に言う。追加で飲まずに返事を訂正し、栞の反応を不安そうに待つ。ここでは音楽を盛り上げず、達成の間も置かない。
千夏「正直に言うと、しょっぱいです。さっきの「おいしい」は違います。」
栞は塩の小皿を見る。意図せずしょっぱいスープになったと気づき、千夏が言えなかった理由を尋ねる。
栞「塩、入れすぎた……。どうして言えなかった?」
千夏は水差しを見る。作った人を傷つけたくなくて言えなかったと明かし、まだ不安を残す。
千夏「作った人を、傷つけたくなくて。」
千夏の「作った人を、傷つけたくなくて。」という不安に、栞が感謝で答える。水差しを近づけ、千夏の緊張がほどける。唯一の感動の頂点。
栞「正直に言ってくれて、ありがとう。」
感謝を受けた千夏が一回目の試食のスープを受け取る。決意は落ち着いた作業の言葉として伝え、新たな山にはしない。
千夏「このスープは、おいしくないまま出しません。」
栞がs02で示した二回目の試食用の空のカップを持ち上げ、直し方を尋ねる。まだ空のまま手に持つ。
栞「これは二回目用。どう直す?」
千夏はs07で見て、s08で栞が近づけた水差しを使う。一回目の試食のスープに、水を少し加えて薄める。まだ飲まない。
千夏「水を少し加えて薄めます。」
栞が二回目の試食用の空のカップを置く。s06で見た同じ塩の小皿を手に取り、塩を量り直すと伝える。計量そのものはまだ行わない。
栞「私も、塩を量り直す。」
栞が塩の小皿を置く。二人は二回目の試食用の空のカップを挟んで頷く。二回目の試食の準備を一緒に始めたところで終わり、試食も採用の判定も行わない。
千夏「二回目は、本音で。」