『彼が私の来客用スリッパをしまったのはなぜ?』
——もう来ないで?
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夜の康平の部屋。左の奈津は靴下のまま、右の康平がいつも借りる来客用スリッパを箱の上へ運ぶのを見て、泊まれないのかと聞く。
坂本 奈津「今日、泊まっちゃだめなの?」
奈津が来客用スリッパを見つめる。床の箱の横に、赤いスリッパの先だけが見える。康平は奈津の顔を見ている。
坂本 奈津「それ、私がいつも借りるやつだよね。」
康平が来客用スリッパを箱に置く。奈津はその動作を、自分を迎える用意がなくなることだと受け取る。
宮本 康平「うん。来客用だから、しまうね。」
立ち上がった康平が言いよどむ。奈津はその緊張を別れ話の前触れだと思う。
宮本 康平「大事な話があって。緊張してる。」
奈津がうつむき、来ないほうがよいのか確かめる。泣かずに返事を待つ。
坂本 奈津「スリッパしまうのは、もう来てほしくないから?」
奈津が箱の中の来客用スリッパを見下ろす。康平は彼女が片づけを拒絶の意味に取ったと気づく。
坂本 奈津「私の居場所、なくなっちゃったのかな。」
康平が奈津の顔を見て、居場所をなくしたつもりではないと伝える。奈津は足を止めて聞く。
宮本 康平「違うよ。奈津に、いてほしいんだ。」
感動の山: 康平が少し横へずれ、箱の陰にあった赤いスリッパを見せる。同居を願う決め台詞を言い、最後の2秒は黙って奈津の返事を待つ。
宮本 康平「お客さんじゃなく、一緒に暮らしてほしい。」
奈津が赤いスリッパと箱を見比べ、しまわれたのは客用だと確認する。康平が赤い物は奈津専用に買ったと明言する。
坂本 奈津「しまったのは、客用だから?」
宮本 康平「うん。赤いのは奈津専用に買った。」
奈津が赤いスリッパに足を入れ、康平の隣へ寄る。一緒に暮らすと答えた奈津に康平が微笑み、並んだ姿で閉じる。
坂本 奈津「うん。一緒に暮らそう。」