『結婚式のスピーチで、新郎の親友が「この結婚に反対です」と言った』
——披露宴のスピーチで、新郎の親友・拓海がマイクを握って言った。「この結婚に、反対です」。彼が明かしたのは、新郎が隠していた明日の朝のこと。
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披露宴のスピーチで、新郎の親友・拓海がマイクを握って言った。「この結婚に、反対です」。彼が明かしたのは、新郎が隠していた明日の朝のこと。
藤波 舞(lead / 花嫁)。
遠藤 和希(lead / 新郎)。
尾形 拓海(support / 新郎の親友)。
披露宴。マイクを握った拓海が、笑わずに会場を見渡す。
視線の先に、文字が浮かび上がる——『結婚式のスピーチで、新郎の親友が——』。
拓海が言い切る。
尾形 拓海「この結婚に、反対です。」
題字は合成。
視線の先に、文字が浮かび上がる——『結婚式のスピーチで、新郎の親友が「この結婚に反対です」と言った』。
紅葉で飾った秋の高砂の席。凍りつく新郎、まっすぐ前を見る花嫁。
遠藤 和希「拓海、やめろ。」
*
二時間前。控室。和希が鏡の前で、薬を飲む。
視線の先に、文字が浮かび上がる——『二時間前』。
舞が和希の蝶ネクタイを直し、キスする。口紅が少し移る。和希の手が腰に残る。
遠藤 和希「きれいだよ、舞。」
藤波 舞「……今夜、覚悟しててね。」
*
その瞬間、空気が凍りついた。披露宴に戻る。拓海が続ける。
尾形 拓海「こいつは明日の朝7時の便で、一人で海外の病院へ行きます。」
その瞬間、空気が凍りついた。拓海が新郎をにらむ。
尾形 拓海「手術が終わるまで帰らない。式のあと、舞さんと別れるつもりです。」
会場がざわめく。
*
和希が目を閉じる。
遠藤 和希「……ごめん。成功するのは、二割なんだ。」
和希が舞を見られないまま。
遠藤 和希「君を、待たせたくなかった。」
拓海が花嫁に向かって叫ぶ。
尾形 拓海「舞さん、止めてください! こいつ、一人で死ぬ気なんです!」
*
舞が静かに言う。
藤波 舞「知ってた。」
舞がブーケの中から出す、二枚の搭乗券。
視線の先に、文字が浮かび上がる——『明日 7:00 発 2名』。
和希が目を見開く。
遠藤 和希「なんで……」
舞がマイクの方へ、ちらりと笑う。
藤波 舞「一人で行くって、みんなの前で言わせたかったの。」
和希が震える。
遠藤 和希「でも、もし俺が死んだら……」
舞が和希の顔を両手で包み、額を合わせて笑う。
藤波 舞「そのときは、隣で泣く。嘘じゃない。」
拓海が肩をすくめ、マイクから離れる。
その瞬間、空気が凍りついた。舞が和希を引き寄せてキス。会場から拍手と歓声。
視線の先に、文字が浮かび上がる——『親友に「反対」を頼んだのは、花嫁だった。』。
藤波 舞は胸の奥で呟いた。——反対してって頼んだのは、私。
日常のわずかな綻びから始まった『結婚式のスピーチで、新郎の親友が「この結婚に反対です」と言った』の真実は、静かな余韻を残して幕を閉じる。だが、彼らが選んだその先の未来はまだ誰も知らない。