『FINAL 7 ― 消せないテイク』第8話「売れない声』
——FINAL 7 ― 消せないテイク』第8話「売れない声
────────────────────────
無音のマイク。MIU「売れない声は、消していいの?」。NANAをまっすぐ見る。
ミウ「売れない声は、消していいの?」
NANA、ノートを閉じる。「そんなこと言ってない」 MIU「じゃあ、聴かせて」
ナナ「そんなこと言ってない」
ミウ「じゃあ、聴かせて」
NANA「この曲まで、売れないって分かるのが怖い」
ナナ「この曲まで、売れないって分かるのが怖い」
MIUはマイクを机に置く。押しつけない。
NANA「ココロが悪ければ、楽だった。私も、列が欲しかったのに」
ナナ「ココロが悪ければ、楽だった。私も、列が欲しかったのに」
MIU「私も。歌だけで平気なふり、してた」
ミウ「私も。歌だけで平気なふり、してた」
NANA、ノートを開く。「七人で歌いたかった曲」 表紙『余白の名前』。
ナナ「七人で歌いたかった曲」
SORA「企画の曲じゃないね?」 NANA「歌詞も曲も私。まだ誰にも渡してない」
ソラ「企画の曲じゃないね?」
ナナ「歌詞も曲も私。まだ誰にも渡してない」
SORA「撮るなら、全員に聞こう。出したくない人がいたら、出さない」
ソラ「撮るなら、全員に聞こう。出したくない人がいたら、出さない」
MIU「私の声は、残して」
ミウ「私の声は、残して」
NANA、低く旋律を探す。NANA(歌)「呼ばれない名前も ここにある」
ナナ「呼ばれない名前も ここにある」
MIUが同じ旋律を引き継ぐ。
SORAはカメラの赤い録画ボタンに触れずに聴く。
KOKOROが入口に立つ。誰も退室を求めない。
KOKORO「歌いたい。でも、私……審査にも残りたい」 歌が止まる。
ココロ「歌いたい。でも、私……審査にも残りたい」
YUZU「その話、していいよ」
ユズ「その話、していいよ」
四つの床マークを俯瞰で映す。