『勝手に動く自分の影を止めようとしたら、逆だった』第1話「勝手に動く自分の影を止めようとしたら、体を引っぱられた』
——影だけが動く
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夜の姉妹の部屋。冒頭から、左の優子の両足は止まっているのに、その影の足だけが床を歩く異常を見せる。右の麻衣も異変を見る。
原田 優子「影が歩いてる!私、動いてない!」
影を消して止めようと、麻衣が壁の照明スイッチを切る。青い月明かりと影が残る。
原田 麻衣「影を消して止めよう。電気、切るよ。」
窓から光が差している。優子の影は体とつながったまま、体より先に足を進める。
原田 優子「影を止めたいのに……月の光でも、影が動いてる。」
影の足が先に踏み出す。その直後、優子の足も本人の意思に反して床を滑る。麻衣がその順番を目撃する。
原田 優子「止まりたいのに、今、足が勝手に動いた。」
優子が自分の影を止めようと足を踏ん張る。麻衣は優子の腕を両腕で抱えて支える。
原田 麻衣「私が押さえる。動かないで。」
影は壁へ向かって進み続ける。麻衣が踏ん張っても、優子の体が影のあとを滑っていく。
原田 優子「影が進むたび、体が滑る。止まれない。」
麻衣は影と優子の足を見比べる。影が先に進み、そのあとに優子の体が動く順番がもう一度はっきり見える。
原田 麻衣「影が先に足を出すと、優子の足も引っぱられる……。」
優子の顔が本人の意思に反して壁へ引かれ、影が体を動かしていると気づく。せりふの後も壁への移動が続き、麻衣が押さえても止まらないまま次のカットへつなぐ。
原田 優子「私が、影に引っぱられてる。」
影が壁を上がると、優子も壁へ引き寄せられる。麻衣の腕から優子の腕が抜け、優子の体が輪郭を保ったまま壁の面へ沈み始める。身体の損傷は見せない。
原田 麻衣「優子、つかまって!壁に引きこまれてる……。」
怖さの山。優子の体は完全に消え、壁には髪型と服の輪郭が同じ優子の影だけが残る。麻衣の顔と壁の影を近い画面に収める。麻衣は空いた床を見てから影を見上げ、助けられなかったとつぶやく。最後の一秒半以上はせりふも音楽もなく、影と麻衣を動かさずに終える。
原田 麻衣「助けられなかった……優子が、影だけになった。」