『部屋の明かりをつけ直したら、出口が小さかった』
——自宅・夜
────────────────────────
夜の自宅。すでに巨大化している姉弟を、出口が小さくなったように見える構図で示す。歩は赤いコップを持ち、外へ出たいのに出られない。
松井 歩「ドアが小さい!これじゃ出られない!」
歩が、明かりを消してすぐつけ直した直後に異変が起きたと駿に説明する。
松井 歩「さっき消して、すぐつけたらこう。」
歩が自分の赤いコップを見下ろす。コップまで小さく見えることを伏線として示す。天井の電球は、完全には消えず弱く明滅する。
松井 歩「私のコップまで小さく見える。」
駿が出口の前で横向きになるが、肩も胸も幅に収まらない。出口を開けても通れない大きさだと分かる。扉は閉じたままで、別の場所は映さない。
松井 駿「出たいのに。この幅じゃ、体が通れない。」
二人の頭が天井に近い。歩は天井も下がったと思い込み、駿も頭をかがめる。
松井 歩「出たいのに、天井まで下がってる。」
電球が弱く明滅する。駿は電球が切れかけていると気づく。この段階では完全な消灯は起きない。
松井 駿「電球、切れそうだ。暗くなる前に出よう。」
電球が小さく弾けて消える。窓の青い光だけが残る。その瞬間、服ごと大きくなる二人の体を連続した合成で見せ、二人は天井に押されるようにしゃがむ。駿はまだ部屋が狭くなったと思っている。
松井 駿「出たいのに、部屋がまた狭くなった!」
怖さの山。歩の顔と、巨大な手の中で極端に小さく見える同じ赤いコップを一緒に映す。歩が真相を言い切る。気づいた瞬間に低い効果音を一撃だけ入れ、台詞を開始から三秒以内に終え、その後は二秒以上、無言で硬直させる。
松井 歩「消えるたび、私たちが大きくなってる。」
巨大化した駿が、腰より下に見える壁のスイッチを押すが点灯しない。電球が切れて明かりを戻せないことを言い切る。
松井 駿「球が切れた。押してもつかない。」
部屋の実寸は変わっていない。巨大な姉弟が床と天井の間で膝を抱え、肩を寄せたまま身動きできない。出口は二人の足元に小さく見える。巨大化は止まっているが元には戻らず、閉じ込められた結末を確定する。
松井 歩「二人とも出たいのに、体が大きすぎて出られない。」