『夫にクビにされた私、夫の会社の持ち主でした』第3話「取締役の交代』
——旧取締役全員交代
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木曜日、月曜日から3日後の朝。冒頭1秒は、取締役交代の通知が机を打つ鋭い音と、ダニエルの驚いた顔、8字の字幕「旧取締役全員交代」だけに集中する。人物紹介と日付は1秒後から出す。ノラはエマの決定による取締役交代の通知を届ける会社秘書役であり、自分で取締役の交代を決めたのではない。
ノラ「旧取締役5人、全員交代です。」
紺のスーツのダニエル本人だけを12秒間映す。顔のすぐ下に「ダニエル/エマの夫・まだ社長」を固定表示し、紹介の対象を一人に絞る。ダニエルが机の取締役交代の通知をつかみ、社長に残りたいと抗議する。同じ会議室にいるノラが画面外から答える。夫による解雇、エマの票、新しい取締役会の権限を既存の字幕で順に伝える。
ダニエル・リード「俺はダニエル、エマの夫で、まだ社長だ! 妻はクビにした!」
ノラの声が響いた。「でも、エマは票の60%を持っています。取締役の交代はエマの決定です。社長を決めるのは取締役会です。」
取締役交代の通知を持つダニエルが、共同創業者ヴィクターも取締役の交代の対象かと確認する。ノラはうなずく。ヴィクターの持つ票については何も言わない。
ダニエル・リード「共同創業者のヴィクターもか?」
ノラ「はい。」
ダニエルはまだ社長だと主張する。エマは今のところはそうだと静かに返す。ダニエルは取締役交代の通知を握りつぶして持ち続け、ノラは手ぶらで退出する。
ダニエル・リード「俺はまだ社長だ!」
エマ・ヘイル「今のところはね。」
取締役の交代を受け、新しい取締役会の議長クレアが入室する。取締役の交代と社長続投の判断は別であり、ダニエルはまだ社長。明日、新しい取締役会が続投を決めるとクレアが告げる。
クレア「新しい議長のクレアです。取締役の交代は済みました。社長続投は明日、取締役会が決めます。」
ダニエルが、エマが選んだ取締役たちだろうと抗議する。新議長クレアは、選ばれたことと言いなりになることは別で、独立して判断すると説明する。ダニエルは取締役交代の通知を持ったまま退出する。
ダニエル・リード「エマが選んだんだろ!」
クレア「ええ。でも言いなりにはなりません。私たちが独立して判断します。」
同日・昼・財務室。会社のお金を管理するヴァネッサが、アスター・セキュリティへの8万ドルの支払いを確認する。名目はカメラの更新。隣の机で支払いを記録する経理担当ルースが顔を上げる。二人の紹介をそれぞれの顔に対応させて表示する。ヴァネッサのスマホが鳴る。
ヴァネッサ・コール「アスター・セキュリティへの8万ドルの支払い。名目は、カメラの更新。」
ヴァネッサが電話に出る。声の主は、紺のスーツの夫でまだ社長のダニエル。同じ名前を字幕で示す。アスター・セキュリティへの8万ドルの支払いは10日前に済んでおり、名目はカメラの更新だと確認する。
ダニエル・リードの声が響いた。「アスター・セキュリティへの8万ドルの支払いは済んだか?」
ヴァネッサ・コール「ダニエル、10日前に支払い済み。名目はカメラの更新よ。」
電話のダニエルが、この支払いを誰にも調べさせるなと命じる。ヴァネッサは黙って聞く。
ダニエル・リードの声が響いた。「この支払いを、誰にも調べさせるな。」
経理担当ルースが隣の机から支払いの目的を尋ねる。ヴァネッサは電話を切ってスマホを机に置き、カメラの更新と答えて画面を閉じる。
ルース・ミラー「その支払い、何のため?」
ヴァネッサ・コール「カメラの更新よ。」
ルースが、カメラの更新という名目なのに新しいカメラは一台も届いていないと指摘する。何かを隠すための支払いではないか、と疑うだけで、隠した物は知らない。ヴァネッサは答えず、自分のスマホを持って退出する。
ルース・ミラー「カメラの更新? 新しいカメラは一台も届いていない。何かを隠すための支払いではないかしら。」
ルースが会社の会計システムで同じ支払い記録を調べ、新しいカメラも作業報告書もないと確認する。アスター・セキュリティへの8万ドルの支払いの支払い記録を監査用フォルダに保存し、印刷して手に取る。
ルース・ミラー「会計システムにも、カメラも作業報告書もない。この支払い記録を監査用に保存して、印刷しよう。」
支払い記録を手にしたルースが、前の監査を担当した弁護士マーカスへの相談を考え、連絡先を探す。マーカスはエマの弁護士でもある。まだ相談はしていない。
ルース・ミラー「エマの弁護士のマーカスに相談しないと。前の監査も担当した人だわ。」
ルースの。会社の会計システムから保存・印刷した同じ支払い記録の依頼者欄と承認者欄を指す。ダニエルが依頼、ヴァネッサが承認。二人の関与が記録で判明する。一行だけ読んだ後、最低1.5秒は無言で、支払い記録とルースの顔を見せたまま音楽を盛り上げる。
ルース・ミラー「この支払いを頼んだのはダニエル。承認したのはヴァネッサ。」
ルースが支払い記録を下げてつぶやく。二人とも知っていたのは、この支払いについて。発見の余韻だけで終え、隠した物の正体は明かさない。
ルース・ミラー「この支払い、二人とも知ってたのね。」