『私を捨てた夫が、私の会社に面接に来た』第7話「疑いは、私にも向けられた』
——次の日の朝・人事部のオフィス
────────────────────────
第6話の次の日の朝、人事部のオフィス。疑いは、私にも向けられた。美咲が、机の上の採用の資料を中村部長に返す。
高橋 美咲「採用の資料、お返しします。」
中村部長は、会社の外の弁護士が待っていると告げる。美咲はそこへ向かう。
中村 浩二「会議室で、会社の外の弁護士が待っている。」
高橋 美咲「はい。行ってきます。」
*
美咲が会議室に入ると、会社の外の弁護士・小野寺が待っていた。会社とは別の立場で、一から調べ直す。
小野寺 遥「弁護士の小野寺です。会社とは別の立場で、一から調べます。」
小野寺は、美咲にも遠慮せずに厳しく質問する。
小野寺 遥「元夫を面接で落として、すっとしましたか?」
美咲は目をそらさずに答える。私は、採用を推薦しなかっただけ。決めたのは私ではない。
高橋 美咲「いいえ。私は、採用を推薦しなかっただけです。決めるのは私ではありません。」
小野寺がファイルを開く。美咲は面接の前に、応募者が元夫だと会社に届け出ていた。
小野寺 遥「面接の前に、あなたは「応募者は元夫です」と届け出ていますね。」
高橋 美咲「はい。」
面接は録画され、不採用を決めたのは、録画を見た中村部長。届け出・録画・判断の記録が全部そろっている。
小野寺 遥「不採用を決めたのは、録画を見た中村部長。記録が全部そろっています。」
小野寺は、あの面接は公平だったと確かめたと告げる。
小野寺 遥「あの面接は、公平でした。私が確かめました。」
「知り合いだけ合格」の噂も、合格した人の記録を見て、根拠がないと分かる。美咲は胸をなで下ろす。
小野寺 遥「「知り合いだけ合格」の噂も、合格した人の記録を見ました。根拠はありません。」
高橋 美咲「よかった……」
小野寺がノートパソコンで、ネットの音声と会社の録画を聞き比べ、眉をひそめる。
小野寺 遥「ネットの音声と、会社の録画。同じ場面なのに、言葉が違う。」