『苦手な同僚に傘の持ち主を聞いたら、耳まで真っ赤だった』
——夜の会社。同僚の井上彩と同僚の松田直人
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夜の会社の休憩室。彩は持ち主に返すための傘を抱え、直人に、助けてくれた持ち主への恋を相談する。傘の持ち手の内側は体に向け、糸は見せない。
井上 彩「この傘の人が好き。でも誰なの?」
彩は、早く帰れと言う直人を苦手に思っていると打ち明ける。それでも持ち主探しを頼み、直人は黙ってうなずく。
井上 彩「早く帰れって冷たいから、苦手だけど。」
井上 彩「持ち主、探すの手伝って。」
彩が、先週この休憩室で泣いていた理由を説明する。現在の会話のままで回想には移らない。
井上 彩「先週、発表に失敗して、ここで泣いてた。」
井上 彩「あの夜、雨だったでしょ。」
彩は、誰かがドアの前に傘を置き、それで雨にぬれず帰れたと説明する。今も持ち主に返すため持っていると明言する。
井上 彩「誰かがドアの前に置いて、ぬれずに帰れた。」
井上 彩「返したくて、持ってるの。」
直人が、まだ画面でも彩からも明かされていない、持ち手の内側の青い糸を気にする。言ってから、口を閉じる。
松田 直人「持ち手の内側の青い糸、ほどけてない?」
彩は、外から見えない糸を直人が知っていることに気づく。傘の向きはまだ変えない。
井上 彩「糸? 外からは見えないのに。」
井上 彩「なんで知ってるの?」
彩が傘全体をゆっくり回し、持ち手の内側に結ばれた青い糸を初めて見せる。直人に傘の持ち主を聞く。細かな手作業ではなく、向きが変わる傘と見つめ合う顔を映す。
井上 彩「この傘、あなたのなの?」
感動の山: 耳まで真っ赤な直人が、傘を置いた本人だと明かして告白する。セリフは冒頭の三秒半以内に言い終え、残り二秒は無言で彩を見つめる。音楽はその間に盛り上がる。
松田 直人「その傘、俺が置いた。君が好きだから。」
直人は早く帰れと言っていた理由を明かす。彩は、冷たいと思っていた直人がずっと自分の味方だったと理解して微笑む。
松田 直人「早く帰れって、心配してたんだ。」
井上 彩「冷たいんじゃなく、優しかったんだ。」
彩が直人を食事に誘い、直人が受け入れる。傘は彩が持ったまま、並んで出口へ向き直る。休憩室の中で肩を並べて歩き出したところで完結する。
井上 彩「お礼に、ごはん行かない?」
松田 直人「うん。今度は一緒に帰ろう。」