『彼が箱のクッキーだけをほめたのはなぜなのか?』
——恋人同士の忍と陸
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夜の忍の部屋。結婚を祝うつもりだった忍の前で、陸が皿のクッキーを見下す。箱は閉じた状態で卓上にある。
池田 陸「手作りなら、結婚しない。」
忍が、結婚を祝うため自分で焼いたクッキーだと説明する。皿には先が少し焦げたハート形が並ぶ。
吉田 忍「結婚のお祝いに、私が焼いたのに。」
陸は食べもせず、皿の焦げたハートをばかにする。焦げた先端が伏線として見える。
池田 陸「焦げたハートかよ。貧乏くさい。」
忍が卓上の箱のふたを開いて陸へ押す。中にも同じ焦げたハート形があるが、陸は箱を見て表情を変える。忍は店で買ったとは言わない。
吉田 忍「じゃあ、箱のほうも食べて。」
陸は箱から取ったクッキーをひと口食べ、店の高い物だと思い込んでほめる。残りのクッキーは皿と箱にある。
池田 陸「こういう高い店のなら、結婚できる。」
忍が箱によって味の評価まで変わるのか確かめる。陸は食べかけの一枚を持ったまま。
吉田 忍「箱に入ってると、おいしい?」
陸は忍の手作りとは違うと言い切る。そのあと、持っていた一枚の残りを食べ終える。
池田 陸「当たり前。お前のとは違う。」
忍が皿と箱を並べる。どちらにも同じ焦げたハート形がある。両方とも忍の手作りだと明かされ、陸の笑みが消える。
吉田 忍「どっちも、私が焼いたクッキー。」
感動の山: 忍が結婚を断る。決め台詞は一行だけ。冒頭約二・五秒で言い終え、そのあと三秒は無言でまっすぐ陸を見る。音楽は無言の間に盛り上がる。
吉田 忍「私も、あなたとは結婚しない。」
忍は箱を自分の手元へ戻し、箱から一枚取って食べる。陸は何も言えず目を伏せる。結婚をやめて別れたことをテロップで言い切り、忍の穏やかな顔で閉じる。