『白文鳥と書きかけの手紙』
——おばあちゃんの手紙に、白文鳥のゆきが小さな足あとを残した。
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縁側の文机で、おばあちゃんが遠くに住む孫へ筆で手紙を書いている。白文鳥のゆきが机に降り、乾ききらない墨をちょんちょんと踏んで、紙の隅に小さな足あとを残す。おばあちゃんは笑って、その横にもう一行書き足した。
ゆき(白文鳥)(主人公)——珊瑚色のくちばしと左翼に小さな灰色の羽が1枚ある真っ白な文鳥。
祖母・千鶴(手紙を書く祖母)——縁側の文机で、都会で暮らす孫へ季節の便りを書く穏やかな女性。
柔らかな朝の陽射しが差し込む古い日本家屋の縁側。文机の上には和紙と硯が置かれ、竹籠の縁に白文鳥のゆきがちょこんと止まっている。
十一月 縁側
祖母の皺の刻まれた手が、筆でさらさらと縦書きの手紙を綴っていく。ゆきは文机の隅に降り立ち、首をかしげて穂先の動きを見つめていた。
その瞬間、空気が凍りついた。ゆきが小さく跳ねて硯の縁をかすめ、桜色の小さな足先に艶やかな墨がちょんとついた。
そのまま和紙の余白をちょん、ちょん、と歩いたあとには、紅葉の葉のような可愛らしい黒い足あとが三つ並んでいた。ゆきは誇らしげに胸を張る。
その瞬間、空気が凍りついた。祖母は叱るどころか目を細めて微笑み、ゆきの足あとの横に『ゆきも元気です』と一行書き添えた。庭の紅葉が朝風に揺れていた。
日常のわずかな綻びから始まった『白文鳥と書きかけの手紙』の真実は、静かな余韻を残して幕を閉じる。だが、彼らが選んだその先の未来はまだ誰も知らない。