【公式映像脚本】『夫が毎晩、隣の部屋で私の声と話している』
キャッチコピー:午前二時、夫の書斎から聞こえるのは、私の声だった。夫は毎晩、私の声のAIと話している。問い詰めた紗代に、夫は「隣の部屋の声が、本物の君だ」と答える。
■ あらすじ
午前二時、夫の書斎から聞こえるのは、私の声だった。夫は毎晩、私の声のAIと話している。問い詰めた紗代に、夫は「隣の部屋の声が、本物の君だ」と答える。
■ 登場人物
・仁科 紗代(lead / 結婚五年目の妻)
・仁科 哲(lead / 紗代の夫。音声のエンジニア)
■ チャプター構成
[00:00] 午前二時の声
[00:13] 台所の傷
[00:23] 私の声のAI
[00:37] 問い詰める
[00:55] 本物の声
■ 本編カット割り台本
【シーン 1】
◆ s01(2秒)
ト書き:暗い廊下。書斎の扉に耳を当てた紗代が、目を見開く。
テロップ:[夫が毎晩、隣の部屋で——]
◆ s02(2.5秒)
ト書き:扉の下の青い光。中から紗代の声。
テロップ:[私の声と、話している。]
仁科 紗代(声)「おやすみ、哲。」
◆ s03(2.5秒)
ト書き:題字は合成。
テロップ:[夫が毎晩、隣の部屋で私の声と話している]
◆ s04(6秒)
ト書き:紗代の独白。時刻は午前二時。
テロップ:[午前2時]
仁科 紗代(声)「結婚五年目。夫は毎晩、午前二時に書斎へこもる。」
【シーン 2】
◆ s04b(3.5秒)
ト書き:翌朝の台所。哲が後ろから紗代を抱きしめ、首すじに顔をうずめる。何かを覚えておこうとするように、目を閉じて。
仁科 紗代「くすぐったい……。夜も、どこにも行かないでよ。」
◆ s05(3秒)
ト書き:翌朝。台所で包丁を使う紗代。指先を切る。
仁科 紗代「いたっ……」
◆ s06(4秒)
ト書き:指先の小さな切り口。血は出ていない。
仁科 紗代(声)「血は、出ていなかった。気にしなかった。」
【シーン 3】
◆ s07(3秒)
ト書き:その夜、深夜二時。紗代が書斎の扉を開ける。
◆ s08(3.5秒)
ト書き:モニターの前で、ヘッドホンの哲がマイクに話しかけている。
仁科 哲「今日も、君の好きな曲を聴いたよ。」
◆ s09(3秒)
ト書き:画面の波形。
テロップ:[SAYO_voice_v12]
仁科 紗代(声)「ええ、私も好き。」
◆ s10(4.5秒)
ト書き:紗代がぞっとする。自分の声が答えている。
仁科 紗代(声)「夫は毎晩、私の声のAIと話していた。」
【シーン 4】
◆ s11(3.5秒)
ト書き:紗代が問い詰める。
仁科 紗代「私がここにいるのに! なんで、そんなものと!」
◆ s11b(3秒)
ト書き:紗代が哲の襟をつかみ、奪うようにキスする。哲は応えず、目を閉じたまま動かない。
仁科 紗代「私を見て。声じゃなくて、私を。」
◆ s12(4秒)
ト書き:哲がヘッドホンを外し、長い沈黙。
仁科 哲「……紗代。今朝、包丁で切った指を見て。」
◆ s13(3秒)
ト書き:紗代の指先。朝の切り口が、そのまま白く閉じている。
◆ s14(4.5秒)
ト書き:紗代が自分の手首に指を当てる。脈がない。
仁科 紗代(声)「脈が……ない。血が出なかった意味が、やっとわかった。」
【シーン 5】
◆ s15(5.5秒)
ト書き:哲が涙をこらえて話す。
仁科 哲「紗代は一年前に死んだ。手術の前の夜、午前二時に、この声を録った。」
◆ s16(4秒)
ト書き:哲が画面の波形を見る。
仁科 哲「隣の部屋の声が、本物の君だ。」
◆ s17(4秒)
ト書き:紗代が震える声で。
仁科 紗代「嘘……じゃあ、五年の結婚は。私は、何なの?」
◆ s18(5秒)
ト書き:哲が紗代を抱きしめ、額にキスする。モニターの波形が揺れる。
テロップ:[AIだったのは、私の方だった。]
仁科 哲(声)「それでも、毎朝、君におはようを言いたかった。」