『MY IDOL HATES ME』第8話「請求書』
——鷹見/責任者
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封筒から一枚の請求明細が滑り出し、ユウの白い大リボンの下で止まる。/紙束を置く強い一音。
鷹見「払え。夢の代金だ。」
ユウは反射的に笑い、封書を押さえる。鷹見は口元だけの薄い笑みのまま、署名前の更新契約書を横に置く。笑顔を保つユウの指先だけが震える。/封書の角を指がこする音。
ユウ「家族への請求、止めて。」
ユウが既払欄を指す。鷹見はその指を払わず、別用紙の『立替』の見出しを示す。/用紙を一枚めくる音。
ユウ「これ、先月払い終えた分だ。」
鷹見「立替は別だ。記録は全部、私が持っている。」
律は送金控えを表示した自分の携帯を机に置く。ユウは初めて作り笑いを解き、律を見る。/携帯を置く低い音。律が一息置いて話す。
律「その研修費は、俺が立て替えた。」
ユウ「俺のために、まだ借りが?」
律は携帯から手を離す。ユウは画面を自分で引き寄せる。奥のレオが用紙の受領欄に気づき、動きを止める。/換気音とユウの浅い息。
律「借りを隠した。守った気でいた。」
レオが黒いレースの指で署名欄をなぞりかけ、触れずに止める。ユウが用紙を回して自分で読む。/衣装の金属飾りが一度鳴る。
レオ「この受領欄……俺の字だ。」
ユウ「これ、レオの字?」
レオが拳を開く。ユウは怒鳴らず、机から半歩離れて一度息を吐く。/レオの声を荒げない。息を吐く音を近く。
レオ「荷物の受取だって。金額は白紙だった。」
ユウ「笑えば、終わると思った。」
鷹見が口元だけの薄い笑みのまま、明細を封筒へ戻そうとする。ユウが用紙の端を押さえ、鷹見の手から自分の側へゆっくり引く。律とレオは手を出さない。/紙が机を擦る長い音。
鷹見「仲良しごっこは売れない。君たちのために、家族に払ってもらう。」
ユウ「消すな。俺が確かめる。」
ユウのうなずきを受け、セナが二枚を並べる。金額ではなく、下部の通し番号HK-1042に指を置く。律の携帯の送金控えにも同じ番号。/一枚ずつ置く二つの紙音。
セナ「金額じゃない。ここ、番号。」
セナは二枚を離して置いたままユウを見る。ユウは明細を隠さず表に向ける。鷹見は原帳のある方向を目で示して去る。/扉のラッチ音は台詞の後。最後の一秒だけ低いオリジナルの衝撃音。
セナ「この請求、二重だ。」