『私の防犯ブザーは、夫が毎晩鳴らしていた』
——私の防犯ブザー
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夜の居間。夫が持つブザーが鳴っている。恐怖で目が張り、肩が固い。
武田 七海「別れたいの。私の防犯ブザー返して。」
和夫は左の七海を見ながら、白い楕円形の防犯ブザーを止める。平静な目と緩い口元で、いつもの言い方をする。
武田 和夫「念のため。動作確認だよ。」
七海は左の立ち位置を保ち、右の夫を見たまま問い詰める。怒りで眉を寄せるが、体は固い。
武田 七海「夫はなぜ私の防犯ブザーを毎晩鳴らし続けるの?」
和夫は右に立ち、左の七海を見る。新品の白いブザーを持ったまま、近所への説明を済ませたと言う。平静で、謝罪を誇るような軽い口調。
武田 和夫「近所には謝った。練習ですって。」
七海は右の夫を見て、怖がらせるためなのかと聞く。恐怖で目が潤むが、口調はまだ抑える。
武田 七海「私を怖がらせたいの?」
和夫は左の七海をまっすぐ見る。別れた後も七海が心配だから新品へ替えたのだと説明する。平静な目と柔らかな口元で、別れを受け入れて気遣っているように見せる。
武田 和夫「別れた後も心配だから、新品に替えた。」
七海は左の立ち位置で、右の夫を見る。嫌がらせだと思っていた行為を、別れた後まで自分を心配してくれる気遣いだと受け取り直す。眉間がほどけ、肩のこわばりが抜ける。「嫌がらせじゃなくて、心配だったんだ」と言い、返却を求めながら自分から右手を夫へ差し出す。
武田 七海「嫌がらせじゃなくて、心配だったんだ。じゃあ、返して。」
左の七海に右の和夫が白いブザーを渡す。七海の顔を大きく見せ、和夫は横顔の小さな姿にする。二人ともブザーを見ており、話すのは和夫だけ。受け渡しが完了して切る。
武田 和夫「念のため。最後は自分で鳴らして。」
七海が胸元に持つ白いブザーを鳴らす。顔は右の夫へ向けたまま。口を閉じ、恐怖で目を見開く。外から声や足音はない。
和夫は左の七海を見て、毎晩鳴らした理由を言い切る。喜びが口元だけに薄く出る。声は大きくせず、ブザーは鳴り続ける。
武田 和夫「毎晩鳴らしたから、もう誰も来ない。」
怖さの山。七海は右の夫を見据えたまま、本気で助けを叫ぶ。叫び終えると口を閉じ、目を張ったまま反応を待つ。残りは声のない間を置き、返事は来ない。
武田 七海「助けて!練習じゃない!」
和夫は右の立ち位置で左の七海を見ている。口を閉じ、確認を終えたように静かにうなずく。背後の茶色い玄関扉は閉じたまま。最後まで返事も足音もない。