【公式映像脚本】『私を捨てた夫が、私の会社に面接に来た』第3話「浮気相手が、元妻に頭を下げた』
■ あらすじ
翌日のお昼、美咲の会社のロビー。家賃が払えない梨花が、3年前に夫を奪った相手の美咲に頭を下げて助けを求める。梨花は、健太が失業を半年も隠していたことを美咲に打ち明け、お腹の赤ちゃんをどう育てればいいか分からないと話す。美咲は梨花を許していないとはっきり伝える。梨花が健太から聞いた話を伝えると、美咲は一度も浮気していないと否定し、梨花は「美咲も浮気した」は健太の嘘だと理解する。美咲は赤ちゃんのために、美咲の名刺の裏へ区役所の妊婦さんの相談窓口を書き、梨花へ渡す。梨花は3年前のことを本気で謝り、美咲は謝罪を受け止める。静かな余韻の後、梨花の後をつけてきた健太が現れ、「梨花、俺のところへ戻ってこい」と命じる。梨花は名刺を両手に持ち続け、美咲とともに健太へ顔を向けたまま何も答えない。最後は二人の動かない背中を同時に見せ、誰も移動しないまま終わる。
■ 登場人物
・高橋 美咲(3年前に夫の不倫で離婚し、現在はIT企業の採用担当責任者を務める冷静で凛とした35歳の主人公)
・高橋 健太(3年前に若い不倫相手・梨花を選んで美咲を捨てたが、現在は失業中で面接にやって来た38歳の元夫)
・佐藤 梨花(3年前に健太を略奪した28歳の若い不倫相手(明るい茶髪の巻き髪・ピンクのニット))
■ 本編カット割り台本
【シーン 1】
◆ s01(4秒)
テロップ:[夫を奪ったのに?]
テロップ:[梨花=3年前の健太の浮気相手]
テロップ:[美咲=健太の元妻]
佐藤 梨花「家賃が払えない。助けて。」
高橋 美咲「私から夫を奪ったのに?」
◆ s02(4秒)
テロップ:[佐藤 梨花]
佐藤 梨花「昨夜知ったの。半年も失業を隠してた。」
◆ s03(5秒)
ト書き:梨花の後頭部と肩を左寄りに配置した背面の寄り。視線の先の美咲は画面外。腹部と指は映さない。
佐藤 梨花「妊娠してるのに、お金がなくて。この子、どう育てればいいの。」
◆ s04(6.5秒)
ト書き:二人を斜め後ろから捉える。梨花は左、美咲は右。美咲の後頭部のシニヨンを見せ、二人の顔と額は隠す。梨花の小さなうなずきと、二人の距離で対立を表す。
高橋 美咲「夫を奪ったあなたを、許していない。」
佐藤 梨花「分かってる。でも、健太はお互い様だって……。」
◆ s05(6.5秒)
ト書き:s04と同じ背面の二人。美咲は初めから梨花へ体を向けており、振り向く動作は置かない。怒りは抑えた断言で伝える。否定を聞いた梨花の肩が止まり、沈黙する。
佐藤 梨花「健太は『美咲も浮気した』って。」
高橋 美咲「健太の嘘よ。私は浮気してない。」
◆ s06(5秒)
ト書き:梨花の後頭部と落ちた肩の寄り。顔は映さず、うつむいた姿勢と声で、嘘を信じて美咲を傷つけた悲しみを伝える。涙が流れる瞬間や虚空を見つめる演技は要求しない。
佐藤 梨花「私、健太の嘘を信じて、美咲さんを傷つけたんだ。」
◆ s07(5.5秒)
ト書き:二人の顔を画角から外した手元のインサート。美咲は一枚の名刺を左手で支え、右手のペンで裏面に短く書く。紙面は斜めで判読できない。
テロップ:[区役所の妊婦さんの相談窓口]
高橋 美咲「区役所の妊婦さんの相談窓口よ。赤ちゃんもお金も相談できるわ。」
◆ s08(5秒)
ト書き:s07から続く手元の寄り。右から差し出される一枚の白い名刺を、左の梨花が両手で受け取る。顔や髪は画角外。驚きは梨花の台詞の間と声で表す。
高橋 美咲「赤ちゃんのためよ。そこで相談できる。」
佐藤 梨花「どうして……私なんかに。」
◆ s09(7.5秒)
ト書き:梨花は左、美咲は右。二人の後頭部から腰までを斜め後ろから捉え、顔を映さずに梨花の腰からのお辞儀を見せる。名刺を持つ手は体の前に隠れる。
佐藤 梨花「3年前、あなたを傷つけてごめんなさい。」
高橋 美咲「謝罪は受け止めるわ。」
◆ s10(2秒)
ト書き:背面の二人に戻す。梨花はお辞儀から静かに体を起こし、顔を下げたまま画角外の名刺へ目を落として小さく礼を言う。美咲は距離を保って待つ。顔も手元も映さない。
佐藤 梨花「……ありがとう。」
◆ s11(4秒)
ト書き:二人の背中越しに中央奥の健太を見せる。左に梨花の後頭部と肩、右に美咲の後頭部と肩。二人の手元は下端の外で、梨花は名刺を両手に保持している。健太の入場と停止を画面内で見せる。
テロップ:[健太=美咲の元夫、梨花の恋人]
高橋 健太「梨花、後をつけてきた。元妻に何の用だ?」
◆ s12(5秒)
ト書き:左に梨花、右に美咲。斜め後方から二人の後頭部、肩、背中を収める固定。背中を主に見せながら、健太へ向いた二人の横顔の輪郭と閉じた口元が確認できる。二人の視線の先に健太がいるが、画面には入れない。梨花の両手と名刺は画角下。二人の間隔と左右を維持し、無人の受付カウンターと鉢植えを背景にする。
高橋 健太(声)「梨花、俺のところへ戻ってこい。」
高橋 健太(声)「……なんで二人とも、何も答えないんだ。」