【公式映像脚本】『妻にだけ話したあの夜を、妻は先に知っていた』
キャッチコピー:お雪の夫・巳之吉
■ 登場人物
・森岡 巳之吉(雪女との約束を妻に話してしまう木こり。)
・森岡 お雪(巳之吉の妻として暮らしていた雪女。)
・西村 茂作(吹雪の小屋で白い女に命を奪われた木こり。生前の姿だけを映す。)
■ 本編カット割り台本
【シーン 1】
◆ s01(4秒)
ト書き:秘密を妻に指摘された巳之吉。妻を見つめたまま目を見開き、言葉を失う。冒頭字幕は最初の1秒だけ、人物紹介は1秒後に出す。
テロップ:[お雪の夫・巳之吉]
森岡 お雪(声)「あの夜、話すなと約束したでしょう。」
◆ s02(5秒)
ト書き:妻のお雪は夫を見返す。巳之吉は妻に聞いてほしかっただけだと訴えるが、妻は返事をしない。
テロップ:[巳之吉の妻・お雪]
森岡 巳之吉(声)「妻に聞いてほしいだけだ。」
森岡 巳之吉(声)「妻はなぜ誰にも話していない夜を知っているの」
【シーン 2】
◆ s03(5秒)
ト書き:昔の吹雪の夜。生きている茂作が小屋の中で巳之吉に呼びかける。紹介字幕で仕事仲間だと示す。
テロップ:[巳之吉の仕事仲間・茂作]
西村 茂作「巳之吉、ここで吹雪をしのごう。」
◆ s04(5秒)
ト書き:小屋の右の入口に白い女が入ったことを、巳之吉の視線と語りで示す。巳之吉は画面外の茂作に起きたことを語る。茂作の倒れる姿は映さない。
森岡 巳之吉(声)「白い女が入って、茂作に息を吹いた。」
◆ s05(5秒)
ト書き:入口の白い女が巳之吉のほうへ近づく。顔は長い黒髪の横顔に隠れ、妻と同じ顔だとはまだ確かめられない。茂作の死は語りだけで伝える。
森岡 巳之吉(声)「茂作はもう動かない。次は俺だと思った。」
◆ s06(5秒)
ト書き:白い女は巳之吉を殺さず、若いから見逃すと言う。ただし誰にも話さないよう命じる。横顔は髪に隠れたまま。
森岡 お雪「若いあなたは見逃す。誰にも話さないで。」
【シーン 3】
◆ s07(5秒)
ト書き:数年後の同じ夜、夫婦の家へ戻る。巳之吉は子供たちが寝たあと、妻だけは信じて話せると思ったと打ち明ける。子供は映さず声も出さない。
テロップ:[数年後の同じ夜・夫婦の家]
森岡 巳之吉「子供も寝たし、お前になら話せると思った。」
◆ s08(5秒)
ト書き:巳之吉は目の前の妻を見つめ、昔の女と似ていたと告げる。口にしてから、妻の沈黙に怯える。
森岡 巳之吉「あの女は、お前によく似ていた。」
◆ s09(5秒)
ト書き:お雪は昔の白い女と同じ調子で口止めの言葉を繰り返す。服や髪は変わらず、夫だけを見ている。
森岡 お雪「誰にも話さないで。そう言ったでしょう。」
◆ s10(5秒)
ト書き:お雪の顔を髪に隠さず、はっきり映す。夫を冷たく見つめ、自分が茂作を凍らせた女だと明かす。顔の変形はしない。
森岡 お雪「茂作を凍らせたのは、この私よ。」
◆ s11(5秒)
ト書き:怖さの山。雪女は夫の目を見たまま、子供がいなければ殺していたと言う。台詞を約3秒で終え、残り約2秒は口を閉じた無言の顔。台詞の終わりに低い効果音を一撃だけ入れ、その後は無音。
森岡 お雪「子供がいなければ、お前も殺していた。」
◆ s12(5秒)
ト書き:白い着物と長い黒髪の雪女を全身ではっきり見せてから、その姿が雪の粒にほどける。最後のコマでは姿が完全に消え、床の上を雪だけが流れる。巳之吉の語りで採用した版を示し、物語の結論は繰り返さない。
森岡 巳之吉(声)「小泉八雲『怪談』「雪女」」
森岡 巳之吉(声)「(1904)に伝わる話。」