『契約は一年、恋は禁止 第3話「遺言の証人』
——遺言書の証人の欄に、夫の名前があった。八年前、祖父と彼は何を決めたのか。翌朝、店に夫の父が現れる。
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遺言書の証人の欄に、夫の名前があった。八年前、祖父と彼は何を決めたのか。翌朝、店に夫の父が現れる。
水瀬 汐里(lead / 時計職人。祖父の時計店「みなせ時計店」を継いだ)。
久遠 湊(本名 鷹宮湊)(lead / 汐里の契約の夫。鷹宮恭一郎の息子で、鷹宮開発の社長)。
藤代 千景(support / 契約結婚の仲介人「結び屋」。湊の大学の同期)。
鷹宮 恭一郎(antagonist / 鷹宮開発の会長。湊の父)。
遺言書の最後の欄。証人の署名。
視線の先に、文字が浮かび上がる——『証人 鷹宮 湊』。
視線の先に、文字が浮かび上がる——『遺言書の証人は——』。
汐里の顔。
水瀬 汐里「……湊?」
時計の壁。振り子がゆっくり揺れる。題字は合成。
視線の先に、文字が浮かび上がる——『契約は一年、恋は禁止』。
視線の先に、文字が浮かび上がる——『第3話 遺言の証人』。
一週間後の朝。湊が壁の古い柱時計のねじを巻こうとする。作業台の汐里が顔を上げる。
視線の先に、文字が浮かび上がる——『一週間後』。
水瀬 汐里「触らないで。それ、祖父の。」
湊、時計を見上げたまま。
久遠 湊(本名 鷹宮湊)「知ってる。昔、巻かせてもらった。」
*
汐里の手が止まる。
水瀬 汐里は胸の奥で呟いた。——八年前、この人は毎週この店に来ていた。
夕方。千景が店のカウンターで書類を広げる。
藤代 千景「遺言書の写しが要るの。契約の書類に添えるから。」
汐里がカウンター下の金庫から封筒を取り出す。
広げた遺言書の最後の欄。
視線の先に、文字が浮かび上がる——『証人 鷹宮 湊』。
汐里、息をのむ。
水瀬 汐里「どうして、あの人の名前が……」
*
千景、意外そうに。
藤代 千景「……聞いてないの?」
夜。汐里が遺言書を湊の前に差し出す。
水瀬 汐里「八年前、祖父とあなたは何を決めたの。」
湊、観念して。
久遠 湊(本名 鷹宮湊)「源一郎さんは、君が一人で店を背負うのを心配してた。」
湊、続ける。
久遠 湊(本名 鷹宮湊)「だから二人で条件を書いた。三十までに、誰かと一緒になれって。」
汐里、まっすぐに。
水瀬 汐里「その「誰か」が、あなたなの?」
*
湊は答えず、左手首の古い腕時計に目を落とす。
翌朝。開店前の店の戸が開き、黒いコートの年配の男が入ってくる。
視線の先に、文字が浮かび上がる——『翌朝』。
男、店を見回してから汐里を見る。
鷹宮 恭一郎「湊の妻というのは、あなたか。」
汐里、身構える。
水瀬 汐里「……どちら様ですか。」
男、名乗る。
鷹宮 恭一郎「鷹宮恭一郎。湊の父だ。」
*
恭一郎、壁の時計を見上げて。
鷹宮 恭一郎「一年もいらない。三か月で、この結婚を終わらせる。」
汐里、時計の音の中で立ち尽くす。
視線の先に、文字が浮かび上がる——『夫の父は、この結婚を終わらせに来た。』。
日常のわずかな綻びから始まった『契約は一年、恋は禁止 第3話「遺言の証人』の真実は、静かな余韻を残して幕を閉じる。だが、彼らが選んだその先の未来はまだ誰も知らない。