安堂ホセが受賞後の「獣走」で挑んだ新競技づくり、書き手が学べる構成の視点
この記事の重要ポイント
- 受賞後の第一作で、初の長編とエンタメに挑戦
- 架空の競技は、ルールが生まれるところから描く
- 長編の読書時間が、文章の緩急を変えた
- 設定の説明を、人物が選ぶ場面に変える
芥川賞受賞後の第一作『獣走』で、安堂ホセさんは初の長編とエンタメ小説に取り組みました。Book Bangが10月19日に公開したメールインタビューでは、架空の競技を生み出す過程や、長編ならではの読書時間への意識を語っています。独自の設定を人物の行動につなげる方法を、書き手の視点で読み解きます。
事実確認できたこと
受賞後の第一作で、初の長編とエンタメに挑戦
Book Bangのインタビューによると、安堂ホセさんの『獣走』は2026年9月30日に発売されました。芥川賞を受賞してから最初の作品であり、著者にとって初めての長編、初めてのエンタメ小説でもあります。執筆の動機として安堂さんは、排外主義が強まる日本で、幸福につながる力を作品に込めたかったと説明しています。
安堂さんはエンタメを、単に多くの人に好まれるものとは捉えていません。ジャンルから人々が共通して思い浮かべる期待や楽しさを大切にし、次へつなぐものだと考えています。本作ではブラウンの若者たちが活発に動き、従来の三作品とは異なって、人を傷つけたり命を奪ったりする描写を用いない方向を目指したと語っています。
出典:【メールインタビュー】安堂ホセによる芥川賞受賞後第一作『獣走』とはどんな作品なのか? 著者本人が作品について答える! 『獣走』刊行記念
架空の競技は、ルールが生まれるところから描く
題材となるのは、既存のスポーツではなく、新しく考案された競技です。安堂さんは、男性の柔軟さや純粋さに目を向け、競技の動きを通じて、身体と心の両方のしなやかさを表したかったと振り返っています。また、スポーツは従来から追ってきた主題につながり、殺傷や性行為を描かずに近い問題を扱える題材だったと説明しています。
作中では試合だけでなく、参加者がルールについて意見を交わし、競技そのものを形にする過程も描かれます。安堂さんは、スポーツも人の手で作られるものだという出発点を重視しました。試合の場面では、サニーの身体を通して動きを捉え、結果をあらかじめ決めずに書く方法が最もうまくいったといいます。メンバーを考える際には、ものづくりをたたえる意図から、アーティストを思い描いたとも話しています。
出典:【メールインタビュー】安堂ホセによる芥川賞受賞後第一作『獣走』とはどんな作品なのか? 著者本人が作品について答える! 『獣走』刊行記念
長編の読書時間が、文章の緩急を変えた
初めての長編執筆には、予想していたとおり時間が必要だったそうです。その間に安堂さんは、本が読者の生活の中でどのように存在するかを考えました。長い作品は何日もかけて読まれ、そのあいだ手に取られたり、部屋に置かれたりします。本を家具やぬいぐるみに通じる存在と捉えたことで、以前の作品のように読者を休ませず進める書き方が、自然に薄れていったと述べています。
出典:【メールインタビュー】安堂ホセによる芥川賞受賞後第一作『獣走』とはどんな作品なのか? 著者本人が作品について答える! 『獣走』刊行記念
分析編集部の見方
ここからは、上の事実をもとにした編集部の考察と創作への応用ポイントです。
設定の説明を、人物が選ぶ場面に変える
書き手が応用できるのは、独自のルールを完成品として説明するだけでなく、登場人物がそれを必要とする場面から組み立てる方法です。架空競技なら、まず試しに遊ばせ、不公平や危険が見つかったところで話し合いを入れてみます。誰が何に困り、どんな変更を求めるかを描けば、設定の紹介と人物の価値観の提示を同じ場面で進められます。競技以外でも、魔法の制約や組織の決まりを描く際に試せる考え方です。
勝敗を先に決めない書き方を試すなら、人物ごとの目標と、できること・できないことを先に整理するとよさそうです。同じ局面で誰が安全を選び、誰が挑戦するかを書き分け、その選択が次の状況を生むようにつなぎます。結末を固定した構成案と、行動から展開を探る草稿を比べれば、人物に無理をさせている箇所も検討できます。また、長編では緊張の高い場面だけを並べず、会話や日常の時間を挟む案も考えられます。読者が一度本を閉じる場所を想像することが、章の区切りや緩急を見直す手がかりになります。
BunCho で試すなら
AI BunChoのスタジオで、架空の競技に参加する人物ごとの目的と苦手なことを整理し、最初の練習でルールの不備が見つかる場面を書いてみます。続いて、勝敗を決めた案と、人物の判断に沿って展開する案を作り、行動の納得感を比べます。最後に、説明が続く箇所を話し合いや試行の場面へ置き換えられないか見直します。
よくある疑問
『獣走』はどのような挑戦をした作品ですか?
安堂ホセさんの芥川賞受賞後の第一作で、初めての長編、初めてのエンタメ小説です。架空の新しいスポーツを題材にしています。
試合の展開は、執筆前に決めていたのでしょうか?
安堂さんは、試合の結果を決めず、サニーの身体を通して競技の動きを描く方法が最もうまくいったと語っています。
出典・一次情報・参考資料
- 【メールインタビュー】安堂ホセによる芥川賞受賞後第一作『獣走』とはどんな作品なのか? 著者本人が作品について答える! 『獣走』刊行記念 bookbang.jp · 2026-10-19
記事のデータおよび検証情報は2026年10月20日時点のものです。