「バイオハザード」クリーチャー制作の舞台裏から考える、小説で恐怖を描く方法
シネマトゥデイによると、完全新作の映画「バイオハザード」で、クリーチャーの動きをつくる練習の様子が明らかになりました。複数人の身体で試した動きは、最終的にはVFXで表現されています。その制作過程を、小説で怪物の姿や動作を設計するヒントとして読み解きます。
事実確認できたこと
戦闘の専門家ではない配達人が主人公
シネマトゥデイが報じた映画『バイオハザード』は、カプコンのゲームをもとに、独自の物語を描いた実写作品です。監督は『WEAPONS/ウェポンズ』のザック・クレッガー。医療品を届ける配達人ブライアンを、オースティン・エイブラムズが演じています。ブライアンは戦闘の訓練を受けた人物ではなく、ラクーンシティ総合病院への配送を引き受けたことで、恐怖にさらされる夜を迎えます。
作品では、ゲームを遊ぶ際の生存をめぐる不安や緊張を、映画として描くことが目指されています。危険をもたらす存在には、ウイルスの影響で姿を変えた人や動物が登場します。これらのクリーチャーを映像にするため、制作では視覚効果と実物の両方が使われました。
身体をつないで試した回転運動
出演者の動きを担当したのは、チェコのダンサーで振付家でもあるヤクブ・ドヴォルザーク・フドリツキ氏です。同氏はInstagramで、複数の人間が一体になったようなクリーチャーの練習を紹介しました。パフォーマーたちはハーネスなどで互いの身体を固定し、動作のタイミングをそろえて回転しています。手足が外側へ伸びる怪物の動きを、人の身体を組み合わせて試していたことが分かります。
ただし、クレッガー監督がColliderで説明したところでは、このクリーチャーの完成映像を担ったのはWETAです。5人で横方向に回転する動作をつくったものの、必要な速度が得られず、人の頭も画面に入り続けたため、狙う表現に届きませんでした。監督は実物による撮影を使いたいと考えていましたが、WETAの案が求めるイメージに合っていたため、そちらを選んだとしています。
別の変異体には実物の仕掛けを採用
一方、下水道にいる大柄な変異体には、機械仕掛けで動く造形物であるアニマトロニクスが用いられています。シネマトゥデイが紹介した公式資料に、この制作方法が記されています。監督のColliderでの説明では、腹部から現れるものを除き、この変異体にデジタル処理は加えていないとのことです。同じ作品でも、クリーチャーによって採用された表現方法は異なります。
分析編集部の見方
ここからは、上の事実をもとにした編集部の考察です。
姿の設定より先に、恐怖を生む動きを決める
小説に持ち帰りたいのは、怪物の外見と動作を分けて検討する方法です。頭や手足の数を決めるだけでなく、どの方向へ進むのか、移動の速さはどう変わるのか、主人公には何が見えるのかまで考えてみます。今回の制作過程では、速度と頭の見え方が表現を選び直す理由になりました。文章でも、設定として奇妙な姿と、読んで怖さを感じる動きは、別々に点検できます。
たとえば、同じ廊下で怪物に遭遇する場面を、ゆっくり近づく版と、突然距離を詰める版の二通りで書いてみます。前者では音や待つ時間、後者では主人公の判断が追いつかない感覚を描く、といった違いをつけられます。身体の部位を一度に説明せず、足音、手の位置、全体の輪郭という順に情報を出す案も考えられます。どの順序なら危険を理解でき、どこに不確かさが残るかを比べると、描写の役割が見えてきます。
主人公の能力との組み合わせも重要です。戦闘に慣れない人物を置くなら、怪物を倒す手段より、逃げ道を探す、物陰に隠れる、配送先へ進むか引き返すか迷う、といった選択を場面の軸にできます。怪物の設定表には、外見だけでなく「主人公のどの行動を妨げるか」を添えてみましょう。試作した描写が狙いに合わなければ、設定を守ることより、その場面で生みたい恐怖を基準に書き直す方法が取れます。
BunCho で試すなら
AI BunCho のスタジオ(/ai-studio)で、戦闘経験のない主人公が未知の怪物に遭遇する場面を用意し、怪物の移動方法と情報を見せる順番だけを変えた二つの描写を試します。読み比べる際は、危険が伝わる箇所と、主人公の選択につながる箇所を確認し、外見の説明だけで止まっている部分を動作や反応に置き換えてみましょう。
よくある疑問
複数の出演者による回転の演技が、そのまま本編に使われたのですか?
監督の説明では、このクリーチャーの本編映像にはWETAの表現が採用されました。人の身体で試した動作には、速度や頭の映り方の課題があったとしています。
クリーチャーはすべてVFXでつくられていますか?
実物を使った表現もあります。下水道の大柄な変異体にはアニマトロニクスが用いられ、監督は腹部から現れるもの以外にデジタル処理を加えていないと説明しています。
確認に使った資料
- 完全新作『バイオハザード』不気味すぎるクリーチャー、リアルにこだわる制作の舞台裏 cinematoday.jp・2026-10-10
発表・報道で確認できた事実と、編集部の分析を分けて書いています。情報は2026年10月12日時点のものです。